第20話  夏休みの始まり

 終業式、それは今学期の終わり告げる白岩真白にとって最高な日である。


「やっと終わった〜。夏休みだ〜!」


 幼馴染の山本佳織が隣りで大声で叫ぶ。


「佳織、五月蝿い。周りに迷惑」


 真白が佳織を嗜める。

 今日二人して帰宅している。何故かと言うと、もちろん先日の三連休が原因だ。

 あれはどうやら、連休明け学校でも話題が尽きずに騒がれている。佳織も『暁月の彗星』のメンバーて事で、何か知らないかと言われていたが。上から黙秘する様にと、言われてる為喋らないと言った。

 真白は今回のことで外出禁止をくらったが、それは解禁されたけど、7月中はダンジョンに行くのを禁止されている。そして何かあると困るからと佳織が監視と言うていで、登下校を一緒にしている。

 あの動画の事は今でもニュースでやっているのを見る。聞いた話しによると、動画の再生回数が2億近く行ったらしい。『暁月の彗星』の人達は驚いていたが、真白は戦うだけの動画を見るって、皆んな暇なのかなと、自分の事なのにアホな事を思っている。

 けど、真白も7月中は大人しくするつもりであったので、納得している所もある。けど、常に誰かと一緒にいて監視されるのは、流石にキツイが黙って受け入れる。何を言ってもこっちの分が悪い。


「真白は7月中どうするの?」

「生産作業するつもり、獅子王の死体の解体もしたいけどうちの工房じゃ狭いし目立ち過ぎるから、石井さんの所の解体所を借りるつもり」

「確かにあれはデカいから目立つよね。…てかそもそもで家で解体するようなものじゃないでしょ」

「まぁね。一人で解体するからお母さんに許可をもらって、泊まり込みで解体できたらいいけど…」

「え! あれを一人で! 誰も手伝ってくれないの!?」

「いや、手伝いたいて人はいっぱいいる。けど『生産組合』の人達はドロップ品を直接もらって生産するから、解体が上手い人が少な過ぎるの」

「でも、【解体】スキル持ってる人はいるよね…。真白も持ってるでしょ?」

「持ってるけど、自分で使う素材にしか使わないの。佳織には話した事あったでしょ、スキルによる魔力の浸透」

「あー、アレか」

「だから基本、私は全部手作業で解体してるんだ。それだと、解体できる人少ないし、できたとしても私から見たら下手過ぎる」

「真白が教えてあげたら」

「スキルに頼りになりすぎてる人達に教えるのは、労力のコスパが悪すぎてメリットがまったくない。時間の無駄になる。石井さんはそこの所よく理解してくれる」


 真白の理解者の一人の龍也は、真白と考えが似ている所があるので、結構話しがスムーズに決まる。真白にとって信頼できる相手なのだ。


「それに、泊まり込みは石井さんも説得してくれる見たい。素材の交渉とか直接できるからよかったて言ってるけど、本当は自分が見たいからだと思う」

「へーそうなんだ」

「佳織はどうするの? やっぱりダンジョン探索?」

「うん、そのつもり。だけどまずは65階層のレイドボス攻略かな」

「え? あのクソ獅子を攻略するの」

「真白、少し呼び方考えて。…で、獅子王なんだけど、幹部の話し合いでこの間の動画で敵の情報とどっかの誰かさんが弱体化させたから、行けると考えて色々準備してるみたい」

「そっか。あ! それじゃ翠さんに役立ちそうなアイテムの注文をいつでも受け入れますて、伝えておいて」

「わかった。…ところで真白はいつから泊まり込みするつもり?」

「今日の夕方からだよ」

「早過ぎない!?」

「そうじゃなきゃ終わらないんだよ。今回のは特に慎重に解体しないとだから」

「…そっか」


 そんな会話をしながら歩いていたら、真白の家の近くまで来ていた。


「じゃねー真白。時々でいいから連絡ちょうだいね!」

「わかった! またね、佳織」


 こうして、真白の夏休みが始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る