史上最強の錬金術師のダンジョン探索‼︎〜生産職だけどバカにするな!〜

モノクロ・ノワール

第1話  きっかけと始まり

 突如世界にダンジョンが現れて半世紀以上たった世界。人類はダンジョンの資源による生活が当たり前になった。今ではダンジョンなくして生活がほとんどまわらない。

 そして、ダンジョンに初めて足を踏み入れた時に人は『ジョブ』を授かる。ジョブは戦闘職と生産職に別れる。戦闘職がダンジョンの素材やドロップ品を持ち帰り、生産職がその素材で武器などのアイテムを造り売買して生活している。

 けれど、ダンジョンから直接資源を収集してくる戦闘職が優遇される。命をかけてダンジョンに潜るため、当然と思えば当然である。収集した素材などは質が良ければ高く買い取ってくれて、上手くいけば普通に働くより稼げる。

 生産職は、自分が造った物を売ったりしながらお金を稼ぐが、大金を得るのはほんの一握りだけである。そのため生産職は『クラン』や『協会』などの組織に所属して稼ぐ事になる。

 白岩真白しらいわましろは中学の時、兄に連れられ、ダンジョンに初めて踏み込んで『錬金術師』のジョブを授かった。最初はジョブを授かった嬉しさの方が優っていたが、『錬金術師』は生産職である。その中でも、『錬金術師』は器用貧乏と言われてあまり人気とはいえないジョブであった。

 真白は、本当は戦闘系のジョブを授かりたかったと思っていたが、物造りは嫌いではなかったため、あまり気にていない。その日から真白は、物造りに励んだ。素材はネットでも安く販売してるため、そこで購入し、造ったりして販売もしていた。

 しかし真白はダンジョン探索に憧れがあった。けど、生産職がダンジョンで素材収集は危険だと言われている。ダンジョンに入る事はできるが、ほとんどがクランに所属している生産職で護衛付きで入っている。単独でも潜る人もいないわけではないが、モンスターの少ない最上層で収集している。探索者はダンジョン内での行動は基本自己責任であるため態々危険をおかす者はいない。

 真白は、ネットで素材を買っているが、そのほとんどは価値がない物や訳ありのものばかりだ。けれど、もっと質の良い素材を使ってみたいと思うことがある。しかし自分の小遣いや収入ではあまり手のとどく値段ではない。ハンドメイドでオークションやフリーマーケットを個人でやってはいるが正直あまり儲かっていない。


「はぁ〜……どうしよう…やっぱり誰か護衛してもらうか…でも一人の方が私はやりやすいし無理かな〜、でもな〜……」


 真白は悩んでいた。ここ一年以上ずっと生産に力を入れて自分の技術を磨き、考え、研究をしたりした。そのおかげでかなり錬金術の腕を上げたと思う。けれど、限界まできてる。今まで質の低い素材を使っていたため、真白は伸び悩んでいた。ここから先、もっと腕を磨くにはやはり質の良い素材を使う必要がある。


「……っ!」


 真白はピンと思いつく。それは誰でも思いつく事だが無謀な方法である。けれど真白は単独行動派で誰かと行動することをあまりしない(できない)。そんなんだからか、中学2生の少女にしては偶に思考回路がアホな方向に傾いてしまう。


「私が一人で潜れるようになればいいじゃん!」


 こうなったら真白は誰にも止められない。友達の少ないボッチ気質な少女は自分の世界に入り込んでしまう。


「まずはどうやってダンジョンで安全に収集できるか……武器は? 装備は……よし! 色々考えよ!!」


 これが数年後、『白の錬金術師ブランシュアルケミスト』、『白の凶神』と呼ばれる、伝説の史上最強の錬金術師の始まりである。

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