無印剣士と物理無効世界~魔力0でも敏捷と魔防高けりゃ無敵です
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プロローグ:異世界へ追放された剣士
負けられない戦いがある。
俺、ケイオスはこれまでそんな思いに駆られたことは無かった。
世界中の剣士が集まる剣術大会の決勝戦の時も。
王都に迫る1万を超える魔物の群れを前にした時も。
たった一人で魔王と戦った時もだ。
少なくとも物理では最強を自負していた。
「キュイ?」
今、俺が戦っているのは最弱と言われるスライム。
何故か全力で攻撃しているのに全く攻撃が通用しない。
「キュキュ?」
水色の可愛らしいフォルム。
ぷるるんした質感は全くダメージを感じさせない。
俺に体当たりしたり体にまとわりついたりしてくる。
こいつの攻撃なのかもしれないが、なんかもう可愛い。
スライムって懐きやすいのかな?
「キュイキュイ!」
「お前、頑丈だなぁ……」
「キュイ!」
可愛い……
討伐する気はすっかり失せてしまった。
「俺の初黒星はお前かぁ……」
「キュ?」
スライムを撫でる。
気が抜けたら腹が減った……
「近くに人の居そうな場所は……」
裏切られたり、なんやかんや大変で飯を食ってない。
この【世界】にはさっき追放されて来たばかり。
俺の弱体化もこの【世界】のせいなのか?
真上にジャンプして周辺が一望できる高さまで跳び上がる。
攻撃は通じないのにジャンプは以前の様に高くまで跳べるな。
「んー、あっちの方になんかありそうだな」
上空から遠方に町らしきものが見えた。
ひとまずその方角へ向かう事にした。
元の世界では最強だった、でも今はスライムに勝てない。
なんでだろう? 不思議だが考えても答えは出ない。
魔物を倒せない様だから町までは注意して進もう。
町の方へ歩き出すとスライムが俺にくっついてくる。
「お前も一緒に来るか?」
「キュイ!」
スライムが俺の肩の上に乗って元気よく鳴いた。
裏切られて冷えた俺の心を癒してくれる可愛さだ!
「よーし、一緒に行くか! 相棒!」
「キュ!」
こうして剣士1人と1匹の新たな旅が始まった。
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