攻撃しかできないヒーラーなので追放されたが、アタッカーとして登録したらSランクだった! 〜アタッカーとして帰ってきて欲しいと言われてももう遅い!私は国王直属の戦士に就任します!〜
@simassima
第1話 お前はヒーラー失格だ
「お前を追放する」
「え?おかしいでしょ!スッツが世界中のみんなを盾で守って、ニナイが世界中の敵を剣で倒して、マギが世界中の人たちを魔法で自由にして私がヒールで世界中の人を癒すって約束でしょ?」
リーダーのニナイが大きなため息をついた。
「あんな冗談まだ信じてたのか?」
「あんなの子供のおままごとでしょ」
ニナイに続いてマギも言った
「え、うそ。ずっとみんなで夢を叶えようと思ってたのに…なんで追放されるの…」
「それはお前だけがCランクだからだ。Aランクパーティーには足手纏いなんだよ。お前が今まで大怪我を治せたことがあるか?全部教会に行って治してもらったよな。お前は役に立たないんだよ」
ニナイがヒーラーのエストの腹を思い切り殴った。だが、そくざにヒールを自分にかけたのでダメージはない。
「落ころぼれヒーラーのくせに回復すんじゃねぇよ!」
スッツがキレて、盾で顔を殴った。
「うっ…」
「はっはー2連続ではヒールできないか!流石Cランクだな!」
仲間はもっと私の事を考えてくれてると思ってた。邪魔だからどいてろって言われるのも、私に怪我をさせないために安全な場所に誘導してるんだと思ってた。私は自分に都合のいい勘違いをしていただけなんだ…。
出ていこう。このパーティーではもう冒険できない。
「お前はヒーラー失格だから冒険者登録解除してから出ていけ!」
「え、でも、それじゃ1年間ヒーラー登録ができない。パーティー組んでもらえない」
「お前はヒーラーをやめてアタッカーとして登録すれば良いんじゃないか?(笑)」
「そうだそうだ!筋肉女だもんな!」
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
無理やり受付へ連れて行かれ、登録解除された。
受付嬢が小声でエストにこう言った。
「Aランクパーティの足を引っ張っていた貴女が辞めてせいせいするわ」
「あの、今度はアタッカーとして登録させてください」
受付嬢が嘲笑った。
「馬鹿なの?ヒーラーとしてすら活躍できない貴女がアタッカー?やってみろよ」
エストは試験場に案内された。試験官が出てきて試験の説明。
「この石を攻撃して灰色に光ったらE、茶色に光ったらD、緑色に光ったらC、赤色に光ったらB、金色に光ったらA、白色に光ったらSだ。魔法でも剣でもハンマーでも使って攻撃してみろ」
エストは自前の剣を腰から抜いた。ヒーラーなのになぜ剣を持っているかと言うと、「俺たちが守ると戦力が落ちるから自分で守れ」と言われたからである。私は、私の力を信頼してくれてるんだと思った。
エストはそんな事を考えながら剣を振り下ろした。
パキッ
「これって割れて何色か分からなかった場合ってどうなるんですか?」
「おい、嘘だろ…」
やんわりと白く輝いた気がしたが、すぐに輝きが失われた。割れたからだ。
よく分からないが、冒険者登録はできた。
「え?Sランク?なんで?」
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
「Sランク冒険者が現れたと言う事で国王に連絡させてもらった。Sランク冒険者というのは1人いるだけで経済が大きく動く存在になり得るからな」
「えぇ…」
とりあえず、今日はもう働く気はない。あんなことがあったばっかりだ。今まで親友で、一生の仲間だと思っていた人たちが私を足手纏いだと思ってたなんて…いまだに信じられない。宿を取ってゆっくり眠ろう。
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
外に出た。
「助けてください!うちの子が病気なんです!ドアを開けてください!」
医者の家のドアをどんどんと叩いている。
病気か、私にできることは何かを攻撃することだけだからな。
「貴女は、Aランク冒険者のエストさん!確かヒーラーでしたよね!どうかうちの子を助けてください」
病気に対してヒールをしてしまうと、病原菌を回復させてしまって逆効果になる可能性がある。私にできることは攻撃することだけ。治すことなんて…
攻撃して回復することができれば良いんだけどな。
ん?攻撃して回復?それなら私にもできるかもしれない。
ウイルスを攻撃すれば良いじゃないか……………
「私にやらせてください」
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