序
ナクルの王は代々マーシスという名を名乗る。もはやそれは名というよりも称号に近いのかもしれない。
伝説の羊飼いの名は王位の継承とともに受け継がれ、王位について以降、彼らが生来の名で呼ばれることはほとんどない。
歴代の王の中でも、マーシス十一世は元の名で呼ばれた期間がもっとも短い王の一人だろう。兄姉に先立たれた彼が即位したのは、わずか十才のときのこと。若いというよりも幼いというほうがしっくりくる年齢だ。
マーシス十一世といえば、〈大連盟〉を崩し、〈盟王〉を討ち果たした王として知られている。大陸史に刻まれるその偉業を成し遂げたのは二十才のときだ。
リィラ・ルィラ・フィアマーシス――〈竜を従えし王〉と呼ばれたかの王について、どの年表にもけして載ることのない話をしよう。
そして――この王を語るならば誰もが思い浮かべることがあるはずだ。
ずっと王に付き従った、一人の騎士。あるいは一頭の竜。
そう、これはかの王についた竜の物語でもある。
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