第12話

カレンは叫び声を上げて飛び上がった。

ドアのそばにカゲがいるではないか。全く気がつかなかった。

カゲは、慌てて用紙を隠そうとするカレンの手を掴み、ニヤリと笑った。

するりと用紙を奪われてしまった。

「返してよ!」

カゲは完全に遊んでいた。

「なんか、お前って、ガキっぽくておもしれーな」

カレンはかっとなってカゲに飛びかかった。カゲはバランスを崩し、倒れ込んだ。

「あっ…!」

二人は蒼白になった。

カレンの小説は、散り散りに破れて床に散らばっていってしまったのだった。

「カ、カレン…ごめん、俺。」

部屋中に、音が広がっていった。

電気が走ったような衝撃に、カゲは自身の頬を押さえた。

じんじん痺れる感覚がした。

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