第10話

「あの、本当に違うんで…」

カレンが本気で抗議しようとすると、カゲはとっさにその足を踏みつけた。

「俺たち、愛し合ってるんです!」

院長はほくそ笑んだ。

「さあ、いらっしゃい。カレンの恋人なら、いつでも大歓迎よ。」

最後にハートマークがつきそうなほど甘ったるい宣言だった。


「家ゲットぉぉ〜。」

カゲは小声で呟いた。身長が同じぐらいなので、耳元で囁かれているようで気持ち悪い。

「へー、なんだ結構ボロいじゃないか。」

院長に連れられて、孤児院にたどり着いた時には、カゲはすっかり調子付いていた。

「…あんたねぇぇぇ…!!」

アッパーをかけようにも院長がいる前ではそんなことができるはずもなく。

たどり着いた頃にはちょうど他の子供達は昼食を食べていた。

意外にもカゲは周りに愛想をふりまいて昼食の席に加えてもらっていたが、カレンは食欲がなくて自室に戻った。

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