魔法でなんでも叶えられる宝石を持ったけど・・・

お餅。

第1話

忘れない、きっと。

泣き叫ぶ声、呻き、怒鳴り声。

崩れる音、救急車のサイレン、煙。

涙、涙、火、涙、涙、涙、火、涙。

忘れられない、きっと。

「…お母さん…。」

ついさっきまで一緒にたわいもない会話をしていた母。

仕事場で崩れた建物の下敷きになってあっけなく死んだ父。

焼けた友達、潰れた子犬、そして、


「いやあああああッッッ!!!」


一面火の海となった、街。

海の近くに住んでいた私のいとこは逝った。

そして、鏡の中の、死んだ目。

私はあの日から、みなしごになった。


それは、平民が青い宝石を持っていたために、

課せられた罪だった。

青い宝石。

涙の結晶のようなその宝石。

平民たちは貴族から,その宝石を寄越すように命じられていた。

その宝石を貴族以外が持っていることを、世間は悪とみなしていた。

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