原色の孤独

@ryo09zw

第1話 惰

布団はベッドの端に投げられ、双方の下着はどこにあるのかも分からない。二人とも情熱の渦に巻き込まれており、身の回りのことなどどうでもよくなっている。肌同士が密着して、興奮と暑さにわたし達の身体はグチャグチャと一体となっている。汗に濡れた肌が触れ合い、彼女の喘ぎ声が部屋に響く。 職場、合コン、相席屋、マッチングアプリ、ナンパなど女と出会うツールなんて何でもある。サシでご飯に誘って、その時に適当にかわいいって言って、その女の長所を見つけて褒めつつ、向こうの話を親身に聞いてあげる。ただの良いヤツには見えないように、ある程度権威性も保持する。お店を出たら、「今日は楽しかった。もう少し飲みたい」とか言って、家に誘う。舌と舌が交わってる時、相性がいい人がたまにいる。そんな時はずっとしたくなる。挿れてって懇願されると、この女に勝ったと思う。一方オナニーは苦手だ。自信を持って出来ない。発射後は、ああやってしまった。明日は誰とも会いたくない。という感情が沸いてくる。別に何かトラウマがある訳ではない。でも翌日は対人コミュニケーションに自信が無くなる。人と接したくなくなるのだ。相手に引け目を感じ、動物的に負けてる状態になっていると思ってしまう。翌日が仕事の場合、上司やクライアントなど様々な関係者とコミュニケーションを取る必要がある。精子が放出された状態で人と対峙したら、相手にとって有利に商談が進む気がするのだ。土日だってコンビニ店員や女の子と接する。やっぱり抜いた後ではコミュニケーションにキレが無くなる気がするのだ。

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