二歩目 「お姉ちゃんって呼んでね!」 です!
————どれくらい歩いたでしょう。
さっぱり森から出られないし、その気配もしません。
陽もすっかり沈み、辺りは真っ暗。
時折り吹く風がガサガサっと木の葉を音立てます。
すごく怖いです。
動物さんでしょうか、生き物の気配もあちらこちらから感じます。
この辺は魔物の類いはいないと聞いていますが、今すぐにでも出てきそうな雰囲気です。
これは助けを待った方がよさそうですね。体力も大分使い、疲れましたし。
おや、ちょうど休むのに良さげな大きな木を見つけたのでそこで待つ事にしましょう。
………………
………………………………
えぇ……
どういう事でしょうか。
待てど暮らせど一向に助けが来ません。
私はいらない子になってしまったのでしょうか。
流石に不安になってきて、涙がポロポロ流れます。
と、その時。
「きゃあぁぁ!」
私のすぐ近くで叫び声らしき音が聞こえました。
な、なんでしょうか!? 魔物でしょうか? それとも人? 私は近くに落ちてた太い木の棒を握りしめ、声のした方へ恐る恐る進んでいく事にしました。
細い小道を抜け少し開けたところに出るとそこには——
小さな女の子が倒れていました。
私より大分年下でしょうか、その女の子は仰向けで目を閉じています。
どうやら気を失っているようです。
可愛らしい顔立ちと長い銀髪が印象的です。
しかしなんでこんな所に女の子が倒れているのでしょう? 迷子ですか? それとも魔物に襲われたとか? ……考えたくないですが……誘拐とか!?
とにかく助けなければいけませんね。私は持っていた木の棒を放り投げて駆け寄りました。
すると——パチリ。女の子が目を覚ましました。
とても綺麗な赤い瞳でこちらを不思議そうに見上げています。
「あ、あの大丈夫ですか?」
声をかけるも女の子は黙ったままです。言葉がわからないのでしょうか?
と、思った瞬間。女の子がいきなり飛び掛かってきました!
「え!?」
な、なんですかこの子!
ちっちゃくて可愛らしい顔立ちからは想像出来ないくらいの力強さで押し倒されます。
もう何がなんだか……とっさの事で反応できませんでしたが、両手を私の首に回されそのまま馬乗りに。女の子の意図がさっぱりわかりません!
「え? あ、ちょ! ちょっと!」
女の子は顔を私の顔に近づけます。今にも唇同士がくっつきそうな距離まで来てしまいました。
どうしましょう……
私ったらこんな小さな子に迫られるなんて……少しドキドキしちゃいますね。
それから少女はそのまま私の目をジッと見つめてきます。本当に綺麗な瞳……吸い込まれてしまいそうです。
そして満足したように私から降りようとして——グキッと足を挫き転げました。あいたたた。
「だ、大丈夫!?」
声をかけると少女はムクッと起き上がり再び私を見ます。
そして私が先程持っていた棒を見て「あ」っと小さく声をあげて、木の棒を手に取りました。なんか……やっぱり可愛いです!
「あ……あの」
少女は少し戸惑いながらも声をかけてきました。
よかった、言葉はわかるみたいです。安心しましたよ! あ、でもなんて返そうかな?う~ん……あ! そうだ!
「お姉ちゃんって呼んでくださいね」
「……へ?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エンディングと次歩予告
夜の森はすごく怖いです……そんな中で出会った、とってもかわいらしい女の子! 一体どうしてこんな所にいたのでしょうね。分かりません。分かりませんが私自身もどうしてこんな所に……早く帰ってご飯を食べたいです。
それでは次歩の弱過ぎ魔法使いのヨーデルエルフェンフィート
【オレサマ オマエ マルカジリ】です!
またお会いできたら嬉しいです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます