第15話 メカメカしいはカッコいい

 爆発と回避を繰り返していると、いつのまにか謎の開けた場所に着いていた。


「んぁ? どこだここ?」


 周りにプレイヤーはいない。相当奥に来たのかもしれない。

 見回しても岩、岩、岩。なにもない。

 進む道もないし……帰るか。

 と思った時、ゴゴゴゴゴと地面が揺れた。

 そして天井から岩の塊が!

「あぶねっ!」と避けると、岩から手足が生えてくる。

 岩が人の形になり、両腕を振り上げて咆哮した。


「ウゴァァァ!!!」


 〚エリアボスモンスター:ケイブゴーレムが現れました〛


 エリアボス? まあゲームならあるあるだけど。

 まぁいい。とりあえずこいつを倒すことが目的だ。


 移動しながら『リトルボム』を取り出し投げつける。しかし流石岩。あまりダメージが通っている様子はない。俺の最強の攻撃手段消えたぞ!?


 とりあえず今は『リトルボム』しかない。ひたすら投げ続ける。


 ゴーレムも拳を振り上げ襲いかかってくるが、ユグドラシルを見た後だ。こんなの止まって見えるね。楽々回避しながら攻撃を続けた。


 さて、このままやると泥試合になりそうだ。俺の攻撃は効かないし、あいつの攻撃は当たらない。どうしたものか……。

 俺は脳をフル回転させて攻略法を探し出す……。そしてたどり着いた、最適解!

 それは……!


「『イリュージョン』ッ!」


 ゴーレムの視界から俺の姿が消える。

 透明化した俺はそのまま爆弾を取り出し、『ローリング・ボミング』。超スピードでぶっ飛んだ。ただし、来た方向へ。

 俺は逃走した。だって無理だもんこんなの。

 あと何時間戦えばこいつは倒れるんだよ! んなことやってる時間があるならさっきのアイテム集めたほうがよっぽど有意義だね!


 ということで別の道を行くことにした。


 ◇◆◇


 爆発に爆発を重ね爆発を繰り返し、【古のクォーツ】の数は1000を突破した。力が封印されてるとか書いてあるけど、何個に分けられたんだよこの王様。


 流石に疲れて来たので少し休憩。

 壁にもたれかかると……

「ポチッ」という洞窟には相応しくない効果音と共に、壁が扉の如く動き出した!


「うわぁぁぁぁ!!!」


 扉の先は真っ暗な穴。

 間抜けな声を上げて俺は落ちていった……!


 ◇◆◇


「うぉぉぉぉ!!!」


 ドシーン! と音を立てて俺は顔面から床にダイブすることとなった。このゲームに落下ダメージのシステムがなかったのが救いだな。あったら余裕で死ねる。


 穴に落下し俺が着いたのはなにやら近未来的メカメカしい部屋。厨二な心に刺さる。一面暗い青の硬そうな素材で、正面にモニター付きの謎の機械が設置してある。研究室のように見えなくもない。

 機械に近づくとウィンドウが現れた。


 〚古ノ王 ココニ眠ル〛


 古……このクォーツと関係があるのか?


 辺りを見回すと、機械とパイプで繋がれた怪しい装置が1つ。フードプロセッサーみたいな見た目だ。……なんだこれ。

 この装置にもモニターがついている。表示されているのはフードプロセッサーの投入口を指した矢印と立方体の物体が表示されている。もしかしてこれ……!


【古のクォーツ】を取り出す。半透明な黄色で立方体。このモニターが表示している立方体は、この古のクォーツなのか?

 まあそうだろうなぁ。じゃあ俺はこの装置にクォーツを突っ込めばいいのか。


 所持する【古のクォーツ】全てを取り出しフードプロセッサーへと投入していく。めっちゃ時間かかった。合計1087個。これくらい自動でやれよ。

 愚痴りながら全てを入れ終えると、装置が発光した。

 中の刃が回転を始め、ガガガガッ!! と騒音を立ててクォーツが砕かれていく。

 クォーツは全て切り刻まれ、下の方に黄色く光る液体が残った。そしてパイプを伝って機械の方に液体が送られて全てなくなった。


 機械は起動を始める。排熱やらなんやらの騒音を立てて。……もうちょっと静かにならねぇかなぁこれ。耳ぶっ壊れるぞ。

 騒音が少しマシになり、モニターが点灯した。

 モニターには1人の男が現れ、喋り始めた。


「我の眠りを覚まさせしは汝か?」


 録画の映像なのかわからんがとりあえず答えてみるか。


「そうだけど、誰だよオッサン」

「……我は王なり。全てを支配せし偉大なる王なり」


 会話はできるようだな。てか自分で偉大なるとか言うんだ……。威厳ポイントマイナスだわ。


 そう脳内ツッコミをいれると、ウィンドウが現れた。


 〚イベント:古代の祝福〛

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