リベルタス・オンライン 〜レベル0の挑戦者〜

たなかくんハイパー

第1話 ようこそリベルタス・オンライン

つ・い・にこの日がやって来たッ!

 全世界が待ちわびた、『リベルタス・オンライン』の発売日だッ!!

 キャッチコピーは、「圧倒的自由」。

 ストーリー攻略、スローライフ、タイムアタック、PVP、その他色々。全てがプレイヤーの思うがまま。

 そんな本作はカジュアルからコアなゲーマー、さらに普段ゲームを遊ばない世代やゲームを毛嫌いする人たち……とにかく全人類の心にブッ刺さったッ!


 サービス開始の午前10時を知らせるチャイムと共に、ヘッドギアを装着してベッドに横たわる。

 そして俺の意識はゲームの中へと吸い込まれていった――――。


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 ゲームの起動が完了し、見慣れた水色の空間が広がる。


 《ようこそ、リベルタス・オンラインへ! まずはプレイヤーの作成をしてください!》


 女性風味な機会音声ナビゲートの説明を受けながら、俺のアバターを作成していく。

 と言っても大体の物は俺の身体をもとに作られていく。

 俺が決めるのは名前と職業くらいだ。


「えーっと、名前は『ゼロ』、だな」


 本名の「れい」から取った名前を入力する。何度目の入力かは覚えていない。

 小学生の頃、ゲームに魅せられてからずっとこの名前を使っている。

 最初にゲームに触れたあの日から、この『ゼロ』名と共に俺はありとあらゆるゲームを遊び尽くしてきた。だからこの名前には思い入れがあるのだ。


「それで、職業は……」


 選択画面には数え切れないほどの文字。

 戦士だとか魔法使いだとか定番な物から、歌手やダンサーといった恐らくこのゲームにしかない物も揃っている。これでどうやって戦えばいいんだよ……。


 小一時間かけて気になる職業全てに目を通し、ようやく俺が選んだのは、『手品師』だ。


【手品師】

 〈手品で戦う職業。多彩なスキルを使いこなしてがんばろう〉


 俺がこれを選んだ理由は2つ。

 ひとつは俺が幼い頃に手品に憧れたからだ。

 ……まあこれはそこまで大きい理由ではない。

 もうひとつ。1番この職業が気になったのは……

 圧倒的に職業の説明文が少ない&適当なのだ!


 ここで他の職業も見てもらおう。


【剣士】

 〈剣術と盾を駆使して戦う、近接戦闘向きの職業。レベルアップで獲得できるスキルは派手な攻撃技からプレイヤー強化までとオールラウンダー。扱いが簡単で、使いこなせばテクニカルな戦い方が可能なため、初心者から上級者まで幅広く使うことができる〉


【ダンサー】

 〈陽気なリズムに乗って相手を攻撃する上級者向けの職業。獲得できるスキルには、『ダンス』と『ビート』の2種類があり、2つが織りなす動きはトリッキーそのもの。戦闘面以外でもその場の盛り上げ役にピッタリ。イカしたナイスガイにおすすめ〉


 ……という感じでスキルやらおすすめする人などが書いてあるわけだが、手品師にはたったの2行しかない! てか2行とちょこっとだから実質1行じゃね!?

 こんな職業……気になるに決まってんだろ!

 え? 普通は気にならない? いいんだ。俺が気になるから、それでいいんだ。


 手品師を選ぶと、《プレイヤーの作成が完了しました!》の声。

 そして目の前に「Now Loading...」の文字と進行度合いのゲージ。あとぐるぐるアイコン。

 ゲージが100%になると水色空間に光が現れ、俺を包みこんだ。

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