第1話 侵入
深夜。青い月と赤い月の光が混じり合い、紫色のどこか不気味な雰囲気を纏う夜。フレアはとある屋敷へ向かっていた。風は夏の夜にも関わらずどこか涼しく、そっとフレアの髪を揺らす。
屋敷の前には門番が2人、1人は船を漕いでいた。今から主人が殺されるというのに呑気な事で。
フレアの任務はこうだ。主人の殺害及び奴隷の解放。手段は選ばなくていいらしい。成功報酬は約5000万フリス(日本円とフリス価値はほぼ等しい)。そこそこの任務だった。
この屋敷の主人について。主人はこの国で禁止されている獣人奴隷を使用している。その奴隷は獣人の村から攫ってきた人達で到底許されたものではない。
そして依頼主は獣人の王国の貴族からだった。証拠はすでに掴んでいるらしい。同胞の解放を強く望んでいた。特に自分の娘も連れていかれたらしく、そのことについてひどく憤慨している事が字面から読み取れた。ただ、表立って行動すれば戦争になりかねない為フレアに頼ったのだと言う。
任務のおさらいを瞬時に行った後、フレアは行動に移った。まず塀を乗り越え、起きている門番の背後に回り込み、首を叩き瞬時に気絶させる。そしてその後物音で目を覚ました門番に
「おはようござします」
と挨拶をしてから、何かを言いかけたその口に催眠薬を染み込ませたハンカチを押し当てる。すぐに門番は眠りについた。
これで入り口の制圧は完了。続いて侵入だが、軽くピッキングをこなし、大きな扉を開ける。真正面から突入するのがフレアのこだわりでもあったのだ。
「お邪魔しまーす。殺させてもらいますね」
小さくそういうフレアの目に映ったのは2階へ続く大きな階段だった。
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