ひょんなことからロリ姉と身体が入れ替わってしまったのでセクシーなロリライフ謳歌してみた

誘宵やや

第1話 身体が入れ替わった

 ある朝。


 「う……んん……朝か……」


 いつもと変わらぬ朝がやってきた。

 咲華莉音さいかりおんは、身体を起き上がらせると、いつもより身体が軽かった。

 

「……んん?」

 

 不思議に思い、頭をクラクラさせながらぼやける目元を擦った。

 すると、目に飛び込んできたのは見慣れた自室ではなく— —姉の部屋だった。

 小学生が使っていそうな机。ぎっしり詰められた本棚。部屋の隅々に配置されたお人形。

 高校生とは思えない幼稚な花柄の部屋。


 「……」

 

 昨日間違えて姉の部屋で眠ってしまったのか。それとも、水を飲んで帰ってきた際に、寝ぼけて姉のベットで寝てしまったのか。

 記憶を辿ろうとしても、いまいち思い出せなかった。

 莉音は、ゆっくり視線を左斜め下に向ける。

 

 「……お姉ちゃん?」

 

 姉の姿はなかった。

 念のため、右斜め下を見たが結果は同じだった。

 姿がないということは、わたしの部屋にいるのかもしれない。

 莉音はシーツを退けてベットから降りた。


 「……」

 

 やはり身体が軽い。

 よく見たら、手や脚が透き通るように白いし、きめ細かい。しかも、肩がすごく軽かった。

 そして、何気なく視線を落とし、

 

 「……ッ⁉︎」

 

 思わず自分の胸を掴んだ。

 見事なペッタン。その割にどこかふわっとした柔らかさがてのひらいっぱいに広がる。

 

 「え、なにこれ⁉︎ どういうこと⁉︎ わたしの胸は? もしかして、しぼんだ⁉︎」

 

 と、朝っぱらから悲鳴じみた声を上げながら自身の身体に触れていく。

 お腹、お尻、顔。どこ触っても、自分の身体である確信が持てない。

 引き締まったお腹は、少しぷにっとしてて隙がある感じ。

 お尻は綺麗な曲線は消え、むちっとしていて、原型がない。

 顔に至っては頬がもちのように伸びる始末しまつだ。

 

 「わたしのダイナマイト、ボン! キュッ、ボン! の身体はいずこぉぉぉ⁉︎」

 

 莉音は絶叫を上げると、頭を掻きむしりながら部屋中をドタバタと駆け出す。


 「うわぁぁぁー⁉︎ どうしてこうなった⁉︎ どうしてどうして⁉︎」

 

 情報収拾が追いつかないというように、ひたすらひたすら走り回った。

 わめきながらクッションを叩きつけ、ベットのシーツに恵方巻えほうまきのようにくるくると巻かれたり解いたり、ブリッジをして悩み倒す。

 

 「ふ……っ、ふぅ……っ、ふう……」

 

 ひとしきり暴れ回った後。

 焦燥しょうそうする気持ち落ち着けるように胸へと手を当てた。

 相変わらずの貧しかった。せいぜい、AよりのBといったところか。

 

 「あぁ、一体どうなってるんだ……」

 

 落ち着いたら落ち着いたで頭を悩ます状況に膝から崩れ落ちた。


 「……こんなの、どうしたら……」

 

 蚊の鳴くような小さな声で弱音を漏らした。

 そこで、床に転げる手鏡を拾い上げた。暴れた際に落としたのだろう。よく見たら周りも散らかっていた。

 

 「そういえば、まだ自分の身体がどう萎んだのか見てなかったな」  

 

 自分はいつ頃の姿に舞い戻ったのか。中学生? いや、小学生かもしれない。

 生唾なまつばみ込む。そして、手鏡をに手を添え、

 

 「— —いざ、幼少期のわたしよ!」


 パカっと勢いよく開いた。

 

 — —そこで

 

 

「——へ?」

 

 言葉を失った。

 なにせ、そこに映っていたのは— —


 「お姉ちゃん?」

 

 そう。莉音の姉— —咲華鞠乃さいかまりのであった。


 「……」


 鞠乃こと莉音はスーっと手鏡を閉じテーブルに置いた。

 

 「……ッ⁉︎」

 

 そして、自室へと疾走した。


 「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん⁉︎」

 

 自身の身体があるであろう場所へとおもむく。廊下をバタバタと走り、叫びながら。

 

 「お姉ちゃん!」

 

 ドン! と、自室の扉を開けベットへとダイブする。

 そこには、

 

 「…………わたし」

 

 案の定。莉音こと鞠乃が寝息をたてて眠っていた。

 薔薇が咲き乱れたかのような紅き髪。上品でいて端整な顔立ちは主張の強さが窺えた。それなのに、首元は少し力を入れたら折れてしまいそうなほと細く、儚く見えた。


 「……んん、ん〜、騒々しいわよ〜。ふわぁ〜」


 莉音こと鞠乃はあくびをひとつ溢し、むくりと起き上がり伸びをした。


 「う、うぅ〜ん、ん?」


 伸びをしたところで違和感を覚えた。


 「……なんか、身体が重いような?」


 肩をほぐそうと右手で左肩を下からすくい上げるように持ち上げた。— —ぷにゅっ。

 何かに引っかかった。

 普段ならスッと持ち上がるはずの腕が……タワワに実った大きなものに挟まれたのだ。


 「え、 何これ⁉︎」

 

 鞠乃こと莉音は胸を鷲掴わしづかみにし、すぐに両腕を上げ飛び跳ねる。


 「よっしゃー! ついにわたしにも成長期が来たのね。高校生だと成長しないと思ってたけどそんなことないのね。うんうん」


 感動にむせび泣き、自慢でもするかのように胸を張ってみせる。


 「この重量。この弾力。この形。まさしく理想のおっぱいだわ!」

 

 正真正銘しょうしんしょうめい自分の胸だと確信をすると、天を仰ぎ合掌がっしょうした。

 それをジト目で鞠乃こと莉音は、猿芝居が終わるのを待っていた。

 

 「ねえ、お姉ちゃん。もういい?」

 「うん、いい……よ?」

  

 そこで、ようやく異変に気づいたのか、「わたしの声?」と首を傾げた。

 『お姉ちゃん」と呼んできた声に聞き覚えがあったのだ。正確には、聞き慣れたものとは声のトーンに誤差があるような気もしたのだけれど。

 莉音こと鞠乃は声のする方に振り向き、


 「……ッ⁉︎」


 絶句した。

 あそこに鏡なんかあったっけ? とでもいいたげにこちらを凝視ぎょうししてくる。

 そして、ツルペタなロリ体型が、

 

 「……なにボーッとしてるのよ」

 「え、わたし動いてないよ⁉︎」

 「だから何言ってるのよ!」

 「だからなんで動いてるの⁉︎ てか近づいてこないで! 幽霊⁉︎ 幽霊よ!」

 「誰が幽霊じゃ! 朝に幽霊が出てたまるか!」

 「きゃいん!」

 

 鞠乃こと莉音はゆっくりと、タイキックをくらわせた。

 すると、莉音こと鞠乃が珍妙ちんみょうな声をあげ嬉しそうにピクピクし出す。ちなみに、いつもより威力は半減していた。

 

 「んで、満足?」

 「……は、はひぃぃ〜」


 鞠乃こと莉音は腕を組み(いつもなら胸が乗っかるのに)をしながら莉音こと鞠乃を見下ろす。

 莉音こと鞠乃はフリフリとお尻を振るとベットに座った。

 

 「……で、なんでわたしが目の前にいるの⁉︎ ドッペルゲンガー?」

 「……」

 

 鞠乃こと莉音が顔をしかめていると、「あ、そしたらどっちかが消えるから違うか」と一人で納得していた。

 

 「お姉ちゃん、これ見て」

 

 と、もうこのくだりは見飽きたというようにパカっと姉に向け、手鏡を開く。

 「⁉︎」

 莉音こと鞠乃は目を見開き、鏡に近づく。

 

 「……莉音ちゃん?」

 

 そう呟くとパタパタと身体を触った。

 ぷにっとした隙のあるお腹は引き締まり、くびれていた。

 むちっとしていたお尻は綺麗な曲線ができていた。

 顔は中学生とは思えないほど大人びていた。

 そして極めつけは、この胸。美術的価値がありそうなほど美しい形、大きさ。

 

 「なんとなく察してくれた?」

 

 と、ひと通り自分の身体(莉音の身体)を触り終えたのを見計らい声をかけた。

 

 「……」

 

 莉音こと鞠乃は神妙な面でコクリと頷き、

 

 「つまり、この胸は天からの授かりものってことよね?」

 

 アホな発言をした。

 

 「……お姉ちゃん。ちょっと四つん這いになってくれる?」

 「? なんで?」

 「いいから早く!」

 「は、はい!」

 

 れたようにいうと、莉音こと鞠乃は四つん這いになり、尻を向けてきた。

 

 「……ところでなんでこんなこ……あひぃーん⁉︎」

 「よくできました」

 

 そして、その背中に莉音こと鞠乃が座ってきたのだ。馬を手なづけるように頭を撫でた。

 莉音こと鞠乃は嬉しそうに声を漏らし、鞠乃こと莉音は複雑そうに眉を寄せていた。なにせ、中身が姉であるとはいえ、自身の身体にやってるのだから。

 

 「莉音ちゃんって、意外と軽いのね」

 「……」

 

 「貴方あなたの体重ですが?」と言いたいが我慢する。

 

 「あの〜、ムチとか持ってない? お姉ちゃんこれだと刺激が足りなくて」

 「……」

 

 鞠乃こと莉音は呆れた。

 もうお気づきらも知れないが姉はこう見えて、Mなのだ。しかもドMときた。まあ、わたしがドSだから相性は悪くないのだけれど。

 自身の身体で言われると、すごく気持ち悪かった。

 

 「わたしの身体で変なこと言わないでくれる⁉︎ もし、わたしの身体に傷でもついたらどうする気? 責任取れるの?」

 「……」

 

 鞠乃こと莉音の猛攻は止まらない。

 

 「ただでさえ、お姉ちゃんはおっちょこちょいのすっとこどっこいなんだから。もし、傷つけたらタンスの角に小指ぶつかりように仕向けるから!」

 

 半眼のまま睨みをきかせたいだが……

 

 「ありがとうございます‼︎」

 

 発情した犬のようにお礼を言われた。もうダメだ。

 鞠乃こと莉音はベットに座ると、莉音こと鞠乃に寂しそうに見つめられた。すごく気味が悪かった。




 「お姉ちゃん」

 「なに?」

 「エピローグで鞠乃こと莉音と莉音こと鞠乃って、言いづらくない?」

 「……なんの話?」

 「いいから答えて」

 「……まあ、確かに?」

 「おけ。じゃー今度から二人でいるときはわたしが莉音。お姉ちゃんが鞠乃ね」  

 「う、うん?」

 「そんでもって、人といるときはわたしが鞠乃。お姉ちゃんは私は莉音ってことで」

 「わかったけど……これなんの話?」

 「今後にかかわることよ!」

 「そ、そう……」

 

 きっと何かしら理由があるのかも知れない。鞠乃はに落ちない様子で頷いた。

 が、やはりその目は寂しそうにしていた。どんだけイスになりたいんだか。

 莉音はため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 




 

 

  

 


 

 



 



 

 

 


 

 

 

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ひょんなことからロリ姉と身体が入れ替わってしまったのでセクシーなロリライフ謳歌してみた 誘宵やや @yaya110103

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