第9話「利害尺度」
節度と冷気
その二節になぜ戸惑う
もうとう人を殺してきたんだろ
ならいいさ
俺だって何人も見殺しにしてる
君はまるで人の不幸を
自分のように心配して
被害予想ばかり
妄想するから
もうとう、自分の敷居を上げていないか
悪に転げ落ちても
そいつら事態は
ある意味、劇場的に生きてる
君はドラマのない
ロマンスを追いかけてるのか
まさかね
あれほど人に好かれようと
サルベージしてるし
くまなく欠点を直そうと努力する
そうして社会の一部に適応して
歯車として生きてる
それは確かにモラル的だ
だけど、なぜ人を殺すたびに
君は、不幸の兆しを想像するかな
あいつらはあいつらで
同情を買おうって訳じゃないんだぜ
君の言う平和って
どれほど平凡なんだって思ったけど
礼節に生きてる幸せもまた
人殺しよりは愛せる暮らしか
そうだね
きっとそうだ
君は自分に見合った人生像を描けばいい
それが何より誰も傷つけない
妄想だけが悲観的でそれでいい
その方が上手い生き方だ
じゃあ
また僕は君の妄想のために
人を殺す
君はその度に、自分と照らすから
もっと無残に殺して
君の幸せを祝福する材料になるよ
じゃ、次はバラバラ殺人をするね
君はどう思うかな
楽しみだ。
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