魔王の未来、それは魔法。
木片
第一章 少年は進む
目が覚めると、見慣れない木の
少年は体を起こし、ゆっくりとぼやけた頭で状況を確認した。
本日は
それは少年、ウォン・エスノーズも
本日は
将来、
その中でもアステリア魔法学校は、現在の
ただ、ウォンは
すると、
続いて女性の声が聞こえてくる。
「ウォン。朝ごはんの時間だから、さっさと
「うん」
ウォンはハンガーにかけていた、アステリア魔法学校の
制服はワイシャツにズボン、その上にローブを着た
それから
そこには三十代の女性がいる。
ペトラはウォンの
「
ペトラの言葉に、ウォンは右手を
「うん、、」
ウォンは
ペトラが言うには、ウォンが生まれてすぐに病気で
一人でここまで育ててきてくれたことを、ウォンは本当に感謝している。
「さ、
ペトラとウォンが
この
「おはようございます。今朝食を作っていますから、
そう二人に言う
しかし、その
これが魔法。
数百年前に
特にティンベルは人口の
生活の
ウォンとペトラが向かい合って椅子に座ると、キッチンから
「コーヒーで良かったですか?」
「ええ。ありがとうね」
ペトラはカップに少しだけ口をつけてから、どこか
「いやぁ。まさかウォンが魔法学校、しかもアステリアに入るなんて、全然考えてなかったわ」
「僕も」
「
「ううん。気にしてない」
エスノーズ家はティンベルの
それは
ペトラは普通に育ててあげられなかったことを、申し訳なく感じている。
だが、ウォンの言葉を聞いて、ペトラも微笑みを浮かべた。
「そうね。アステリアはウォンもきっと気に入るはずだから」
ペトラがそう言うのは、ペトラ自身もアステリア魔法学校の
そこでウォンの父親であるアンドリューや仲間達と出会い、
エスノーズ家にも学生時代の写真がいくつか
そんな会話をしていると、魔法ではなく手で料理の乗った皿が運ばれてくる。
「アステリア魔法学校に入学するんですか?」
「はい、そうなんですよ」
「すごい
「ありがとうございます。
「、、、」
ウォン的には、そういうことは目の前で言わないでほしい。
普段から
それを
「ふふふ。息子さんが
「昔から恥ずかしがり屋で、、。でも、受験の時は私の方が
ペトラは基本的にとてもおしゃべりだ。
これ以上ウォンが会話に
**************************************
「お世話になりました。きっとまたお世話になりますね」
「それは嬉しいですね。またのお
婦人に
ウォンの目に入り込んできた
「ウォン、行くわよ」
「うん」
ペトラはローブに身を
これはペトラが出かける時は
ただ、ウォンはペトラの視線に
「ウォン。
「何に?」
「ううん、いいのよ。ウォンなら大丈夫よね」
ウォンには、ペトラが何を
ウォンはただ、これから
だが、ペトラの言葉を
「気を付ける」
「ええ。そうしなさい」
そうこうしているうちに、首都でも確実にオーラが違う門の前に着いた。
ペトラが一度、大きく
「ウォン、分かる?」
「
「そう。アステリア魔法学校は
「うん」
魔素は
源から魔素を取り過ぎては、
特に魔法使いとして
ウォンは一度も経験したことがないが、場合によっては体の一部が
まあ魔法使いとして生きるなら、それくらいの
ウォン達が門をくぐった瞬間、どこか
「気づいた?なんか変な感じしたでしょ」
「うん」
「アステリア魔法学校には、
結界魔法は魔法使いの中でも使える魔法使いが非常に限られる、
魔法の名門学校としては、申し分ない効果だろう。
「それにしても魔法が
ペトラが結界を
ウォンにはその言葉の意味がわからなかったが、ペトラの顔がアンドリューを思い出すときのような顔をしていたので、
こういう顔をするときは、昔を思い出している時だ。
二人が門からまっすぐ伸びた道を歩いていると、緑色のエンブレムが入ったローブに身を包んだ女子生徒が立っている。
「
どうやらここでウォンとペトラは一度別れなければならないらしい。
ウォンとペトラが向き合う。
「じゃあ先に行ってるから、気をつけなさい」
「うん」
ウォンがペトラと別れてから
思われると言ったのは、そこが一般的な昇降口には思えなかったからだ。
ウォンが
「新入生。名前は?」
「ウォン・エスノーズ」
そう答えると、男子生徒は手に持っていた
それを
「君はドラグーン
ドラゴンと言えば一般的には
魔法学校の入学試験でも
ウォンがかなり大きなその入り口を
ここに入れとは言われたが、先には道などはなく、
だが、ウォンには魔法使いの直感として伝わってくる。『前に進め』と。
その直感に
まばゆい光に包まれ、ウォンは一度暗闇の中に放り出された。
そして、
「ほう?暗闇を
ウォンよりもかなり低い男性の声。その言葉の通り、確かにウォンは暗闇に
ウォンからしてみれば、人間よりも
「
「どうして?」
「あまりにも落ち着きすぎている。今までも闇を恐れない人間自体はいたが、少なからず瞬間的な
「驚かない」
ウォンは迷いなく真上を向く。
「わかった?」
その瞬間には暗闇はなくなって、大きな部屋にいた。
ソファや
そこで気づいたが、ウォンの制服も色が変わっていた。
先ほどまで
これがドラグーン寮の生徒である
「新入生は移動しまーす」
上級生が呼びかけて
いよいよ入学式だ。
**************************************
講堂の一階には新入生たちが座り、二階にはその保護者。三階には
この
ちなみに椅子の
そんな風に
「これより、アステリア魔法学校、入学式を始めます。最初に
「はい!」
はっきりと
赤と金が混じり合った髪の毛は
「初めまして。生徒会長のギラン・タリタです。まずはご入学、おめでとうございます。アステリア魔法学校は皆さんを
とんでもなく
そして何より、圧倒的に力があるように見えた。
「ここで、生徒会のメンバーを紹介したいと思います」
ギランがそう言うと、ステージ袖から三人の生徒が出てくる。
三人が
「左から、アミラ・リリーカ、ロイ・アレン、エリューカ・ポロフ。三人とも俺と同じ、ドラグーン寮の三年生です。この四人で生徒会です。困ったときは
アミラとエリューカという少女二人とギランがお
次に、司会の男性が口を開く。
「続きまして、校長挨拶。アステリア魔法学校校長、シャンラ・ランパート」
返事もなくヒールの
圧倒的に世界が違う。そう感じさせるだけの、確かな
シャンラが演説台まで来ると、一度会場全体を見渡し始め、ある一点を見つめて、本当に一瞬だけ目を見開いた。
「シャンラ・ランパートだ。今しがた見渡したところ、
その言葉に、会場がどよめく。当然だろう。その数人以外の大半は素質がないと言われているようなもの。魔法使いになりに来ているのに、
だが、それすら受け入れざるを得ないほど、シャンラに講堂が
「ほかの
シャンラの言っていることを理解できている魔法使いは、保護者や上級生も含めて少ないだろう。
まさかここにいる大多数が
しかし、シャンラはそれを肯定し、礎として入学を歓迎した。
アステリア魔法学校の校長という
だが、同時にここで想像できてしまう。
シャンラが現代最強の魔法使いになるまでに、
**************************************
入学式が終わり、ウォンはペトラを校門まで見送りに来ていた。
アステリア魔法学校は
そのため、ペトラとはしばらくの別れになる。
ペトラが結界のギリギリまで足を進めてから、振り返った。
「それじゃあ、もう行くわね。あんまり
「うん」
ペトラの浮かべる笑みには、嬉しさと寂しさが
今まで十四年間、良い意味でも悪い意味でも離れずに生活してきたからこそ、
そしてなんといっても、ペトラにはもうウォンしか残っていない。
それがシャンラの言葉を聞いたウォンには、とても気がかりだったが、何か声をかけられるほど、ウォンは
「夏休みには帰ってきなさい。ちゃんと
「うん」
「またね」
ペトラは
その
**************************************
ウォンと別れたペトラが
結界を出たというのに、まだ彼女の
(これはマズイわね。早くしないと)
ペトラはそのまま
路地裏は
かといって、アステリア魔法学校の昇降口のように魔法がかけられているわけではない。
つまり、本当に行き止まりであるということだ。
そして、ペトラはゆっくりと振り返って、十四年ぶりに会う親友を見つめる。
「ペトラ。お前が来ているとは、、、驚いたぞ」
「シャンラ。あなたこそ、
先ほどの入学式で姿を現した現代最強の魔女、シャンラ。
彼女が会場を見渡した時、不自然に一瞬だけ目を
確かに学生時代を
「あの話、
ペトラがシャンラに向けて
「アンドリューを殺してから、そんなに魔法が上手くなったのかしら?」
「ペトラ、、、、!」
ペトラの
これは
命を
「結界!」
シャンラが
その違和感を感じ取ってからも、ペトラは嘲笑を浮かべるだけで、
「なぜ詠唱しない」
「だって、あなたには殺せないでしょう?」
「、、、」
シャンラはペトラに右手を向ける。
彼女の
「死ね、、!」
「
何かの力がペトラに
シャンラの魔法からペトラを守ったのは、
そのドラゴンを見た瞬間、シャンラが目を見開く。
「必殺魔法か、、!?」
「あなた自身が言ったことじゃない。死は魔法使いを強くする。アンドリューの死によって強くなったのは、
昔はシャンラの方がペトラよりも、少し先を歩いていた。
だが、今は違う。
「なんで殺したの、、?」
「、、、」
「答えて、、」
ペトラの言葉に、シャンラは何も答えることができない。
ただ
しかし、このまま俯いているわけにもいかない。そうやって、
「ペトラ!」
シャンラの魔法による何らかの力がペトラのドラゴンを
誰もいなくなった路地裏にシャンラは腰を下ろすと、ゆっくりと深く息を
「
すると、
「誰だ」
路地裏の入口に向けてそう言うと、そこには
その姿を見て、シャンラは
「逃がしちゃってよかったの?シャンラちゃん」
「ルカ。ほとんどの力を学校を守る結界の
「まあね~。でも、いつまでも
「ああ。メンバーを集めてくれ」
シャンラの命令に、ルカは
「アイス買ってくれたらいいよ?」
「、、、分かった」
シャンラの返事を聞いて、ルカは笑顔で右手を頭につけて
「かしこまり~!」
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