異世界でハンティングゲームしてポイントを集めて自分を強化!
フリーダム
第1話 スライムのいる世界①
【おはようございます、全ての世界を橋渡しを担う『グローバルコーテックス』です】
【皆さんは、人体強化改造手術とレベル1の装備を与えられて中世風ファンタジー異世界で戦ってもらいます】
【理由は借金だったり治療だったりと色々だとは思いますが、それは関係ありません】
【こちらが企業を通して提示するミッションをクリアして、ミッション内での行動によって得たポイントで『新しい兵器』『兵器改造』『人体強化』『アイテム』を買うことができます】
【それぞれに渡した端末にミッションを記載されてますのでご確認ください。それでは異世界転移を開始します】
【グローバルコーテックスは、地球人の皆さんのご健闘をお祈りしています。】
◆
五条一護の幼馴染である三月織姫は病を患っていた。その治療をするために『グローバルコーテックス』と呼ばれる異世界へ人を送り込みデスゲームを開催する娯楽商業組織へ志願する。
一ヶ月の基礎研修を終えた後、強化改造とレベル1の装備を貰ってファンタジー異世界へ飛ばされた。そして、その幼馴染自身も、残りの自分の治療費を払うために志願した。
異世界へ転移させられ、『グローバルコーテックス』から発信されるミッションを挑戦させられる。その様子は地球で中継され、色々な人が見る事となる。
「……ふぅ」
「ビビってる?」
緊張している様子の幼馴染、夏油織姫に五条一護はからかう口調で問いかける。すると織姫は肩をすくめて笑った。
「流石に余裕綽々とはいかないよ。これから命の危険に直面するわけなんだからさ」
「大丈夫大丈夫。俺達は無敵のコンビだから」
「本当に、そのセリフ好きだよね。君は。昔読んだ漫画のキャラと同じ名字だからって」
「だって格好良いじゃん。さて、ミッションを確認しよう」
「そうだね、やることをやらないと脳に埋め込まれた爆弾でボン! だ」
二人は端末を見る。するとそこには『グローバルコーテックス』から複数のミッション依頼が届いていた。そして二人は一番高い金額のミッションをタップする。すると企業連合のロゴが表示され、ブリーフィングが開始される。
◆
【ミッションを連絡します】
【ミルガル王国に侵攻するモンスターを排除してください】
【ご存知の通りミルガル王国は地球人支配を受け入れない反体制勢力の本拠地です。しかしあそこには重要な採掘資源が眠っています。我々は平和的な話し合いを求めていますが、彼らは頑なにコレを拒み、攻撃的な態度を崩しません】
【このミッションは話し合いのための示威行為です。モンスターを全ての殲滅する力があることを背景にした交渉は望むところではないのですが、この際は仕方ありません】
【失礼ながら、このミッションは貴方方の試金石でもあります。確実な遂行をお願いします】
依頼者:グローバルコーテックス
前払報酬:0ポイント
成功報酬:200000ポイント
特別加減算:無し
作戦領域:ミルガル王国
僚機:無し
敵戦力:モンスター300体の全滅
作戦目標:敵全撃破
◆
ミッションへの参加は、一度、待機部屋と呼ばれる場所へ転送されてから始まる。その待機部屋では、各々が所有している兵器やアイテムが入ったコンテナが設置されており、ミッションの内容に応じて武装する。
今回はモンスターの撃破という単純なものなので、ビームキャノンを背負い、右手にパルスガンと左手にパルスブレード、全身タイツのような見た目のパワードスーツを纏う。その上から普段着を羽織る。
「織姫。準備できたか?」
「万全。すぐに行けるよ」
「お互い、どこに転送されるか分からない。レーダーで確認しつつ、敵を撃破する」
「了解」
【転送を開始します】
一護が転送されたのはモンスター群から少し離れた位置だった。ブーストジャンプしてモンスターの方まで向かう。
―――ビームキャノン砲が、大地を爆発させ、モンスターが宙を舞う。
ミルガル王国へ侵攻していたモンスター群に向けて一護が攻撃したのだ。
そこはかつて山林や山があった場所だが、今は無い。幾度も起こった戦闘―――企業勢力の機甲部隊による砲撃や、グローバルコーテックスの部隊によるモンスターと戦闘により削られ、今はモンスターの進行ルートである荒野へと成り果てていたからだ。
ここより横にそれた地域ではまだ山地が残っており、ここにビームキャノンを撃ち込むにはうってつけの土地だった。
「12体の反応消滅」
「少し逸れたな」
ビームキャノンにひっかかったモンスタ―――その先陣たるラージ級のいくらかが爆散し、土塊と砂塵が大音量と共に大気に放り投げられる。
織姫の背負った垂直ミサイルが降り注ぐ。
魔法種が居れば、その魔法によりミサイルのほとんどが撃墜される。だが、今回は魔法種による魔法で撃墜されたミサイルは、無い。
『こちらグローバルコーテックス、オペレーターです。五条一護と夏油織姫の両名へ通達します。被撃墜率はゼロ。群れの中にマジックキャスター種は存在しないようです。ですが出てこないとも限りません。』
大声で隊員が返答した。直後に、白煙から生き残りのミドル級のモンスターが現れ、待ち伏せていた二人へ突進して来た。
戦線を押し込まれる前に叩く、と。
一護と織姫がモンスターへ突っ込んでいった。パワードスーツの機動性を活かし、モンスターの横をするりと抜けると、振り返りざま点射した。
パルスガンが、固い前装甲とは違い拳でもずぶずぶと貫けそうな柔らかい背中部を貫き、その活動を永遠に停止させた。
処女きったのを喜ぶ暇もない。一護は喋りながら動き、次々にモンスターを屠っていく。しかし、所詮は二機だ。突進してくる突撃級の全てを捕らえることはかなわず、数匹が一護達の届かない位置まで抜けた。
『っ、しまっ――』
一護は前方の敵に集中した。次々とやってくるモンスターを、危なげなく撃破していった。前面の装甲は、時には120mmの砲弾や艦隊の砲撃に耐え切るほどに硬く、分厚い。だが、背中部分は前面に反して柔らかく、パルスガンを数発でも叩き込めば沈黙するぐらいの、わかりやすい弱点だった。
一護達は背後に回っては最小限の動きで敵を撃破していった。そして数分後には、モンスターのその8割が地に伏せることとなった。
「魔法級がいないのは、不幸中の幸いだったか」
「そうみたいだね………いれば、危なかったかも」
前衛で暴れている一護のパワードスーツに備え付けたられたレーザー照射を知らせる警報は一度も鳴っていなかった。つまりは、後方には魔法種はいないということだ。そして群れの中でひときわ大きいギガント級も見えない。
残るは中型と小型の間ぐらいの大きさで、しかし数は一番多いミドル級が群れの中核となっているのだろう。
それでも、一体いれば歩兵を薙ぎ倒せる程に強いのだ。一護と織姫はその認識を元に、2機で動いた。その2種の間合いの外からパルスガンを叩き込み、後ろには通さないとばかりに、次々に倒していった。残弾が危うくなれば、一護が指示の元に一端後方に退いて、マガジンを交換した。
パルスブレードによる格闘戦は行わない。
「大丈夫?」
「大丈夫!」
織姫は息も絶え絶え、といった様子で返事をした。一護は顔を少し顰めると、しっかりしろと大声で言った。
「ミッションが終わるまで、だぞ」
「わかってるよ」
「しかし………いい加減に限界か。敵はあと2割が残っているが………」
「い、や、まだ、やれるよ」
「無理なら無理と正直に言えって。耐えようとするのは立派だけど………いやこれ以上を要求するのは酷か。あとは残りも少ない。最悪お前一人だけでも撤退しろ。これならば、俺一人でも何とかなりそうだからな」
「……すまないね、感謝するよ」
『こちらオペレーターです』
いきなり入った通信に、一護は嫌な予感を覚えた。
『隣のエリアからモンスターの増援が接近中。現在はミルガル王国の魔剣士が防衛していますが、長くは持たないでしょう。至急救援に向かってください』
「はぁ、休む暇なしか。行くぞ! 織姫!」
「了解! 一護くん」
一護達は跳躍を行い、モンスターの死骸の上を抜けていった。やがて二人の視界に、倒れ伏したゴーレムが映り出した。踏み潰された人間と、胸部がへこんでいる全身鎧が大地に横たわっていた。
どうやら最初のモンスターにやられたようだ。二人はそのまま、まだ戦闘を継続している生き残りを見つけると、突っ込んでいった。
魔剣騎士に気を取られているモンスター。
こちらに背中を見せている間抜けなミドル級にパルスガンを贈呈し、囲いを薄めるべくパルスブレードで手早く片づけはじめた。織姫もそれに続く。一護よりも命中率は低いものの、背中を向けている静止目標ならば大半を当てられた。
広域リンク上からモンスターの赤いマークが次々と消えていく。
やがて、モンスターの残数が一割を切った。レーダーにて残存数を確認した一護達の間から、緊張感が薄れていく。
突如、地鳴りが響き、一護達の足元から揺らす。
『な、地震………!?』
『いや、これは――――下か!? っ、各機気をつけろ、一時的に後ろへ退け!』
足元から大量のモンスターが湧き出してきた。
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