魔王降臨する。日本に

蒼穹月

プロローグ

 20xx年。

 地球は脅威に晒されようとしていた。


 某日。とある世界より。


「ふうむ、美しい。余にこそこの星は相応しい」


 煌びやかな衣装を纏った御仁。

 否。御仁というにはその者は明らかに人の様相をしていない。

 肌こそ錦糸の如き滑らかさではあるものの、その口から覗く歯はどれも鋭く獰猛。スラリと伸びる指の先には全てを切り裂く鋭い爪が生えている。


「はい陛下。この星を貴方様の物へ」


 御仁の前に跪く者達は誰も彼もが恐ろしい姿をしている。

 陛下と呼ばれた御仁は満足そうに口端を歪める。


「うむ。良きに図らえ」

「「「魔王陛下の御心のままに」」」


 そうして深く首を垂れた者達は一斉に地球のフランスへと降り立った。


 更に別のとある世界。


「ほう。魔法が存在しないとは異な事。此処で我が暴れればさぞ愉快痛快であろうな」


 そう言ったのは物語に出てくる様な西洋のドラゴン。

 否。ドラゴンというには余りにも禍々しい。

 恐ろしい様相をしたドラゴンは六枚の羽をはばたかせると、急降下で地球のアメリカへと降り立った。


「お待ちください!魔王陛下!我等も共にー!!」


 そして周りに侍っていた普通のドラゴン達も後に続いて降り立った。


 他にも大多数の異世界の魔王達が地球に目を付け、それぞれ異なった国々へと降り立って行く。


 それは勿論。


 日本にも。

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