命の雫

水浅葱

第1話 終焉の時迫る

(その星は終焉が迫っていた。悲鳴にも似た声が大地をひび割り、天は雷雲が轟き、気温は上昇を続けていた。そして星の中枢部分では、2人の男と一人の女に抱きしめられている、幼い一人の赤子がいた)


…アーレス陛下、貴方がこの子をその腕に抱いたら、この星は救われるかもしれないのですぞ…


(そう述べているのは、星帝に仕える聖なる円卓の第一騎士の男、アレンだった。その隣には本来、帝の隣に寄り添っているはずの星帝の妻が、一人の赤子を抱いて立っていた)


…貴様は私に仕えている身分でありながら、妻のリリゼアと関係を持って、産まれた子が貴様の子とわかったのなら、その様な子を抱けると思うてか…


(第一騎士の男に物凄い剣幕で怒鳴り散らし始めると、妻の中の赤子が泣き叫んだ。Γこのままじゃあ、皆、死んじゃうよ…!!」)


大丈夫よ…怖くないからね…


(星帝の妻は騎士の男と関係を持ってしまった。だがそれは、決して感情に流されての行動ではなく、一人の男として騎士を見て愛してしまった。その結果が、今、腕の中に抱く赤子であり、その結晶だった)

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命の雫 水浅葱 @mizuasaghi

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