第41話 もう迷わない
「はぁ、疲れた……」
ノエルの家を捜索後、メア達の施設で、ぐったりと疲れた様子で帰ってきた女性魔術師がうーんと背伸びをしてテーブルに突っ伏し、はぁ。と深くため息をつくと、周りにいた魔術師達も、そのため息につられるように、ふぅ。と深呼吸をした
「お疲れさま。紅茶をどうぞ」
施設に残っていた人達が、紅茶やお菓子を差し出して労うと、ちょっと元気が出てきた魔術師達が、あちらこちらで雑談をしはじめ、部屋の中が少し騒がしくなりはじめた
「それにしても、こんなにも疲れるならノエルさんに会って、また魔術を使えるように戻してもらいたいね……」
「確かに。魔術を使わない生活なんてこんなにも大変とは思わなかったよ」
「でも、ノエルさんに言ったとして、戻せるのかな?元はアオイって子が世界を変えたんでしょ?」
「うん、そう言っていたね」
会話が部屋に響いていたのか、周りにいた魔術師達が険しい顔で顔を見合わせ話の内容を考えはじめ、騒がしかった部屋が急に静かになった
「そのアオイって人は、どうしてこんな世界にしたんだろう……」
そう呟きながら紅茶を飲んだ時、ガチャと部屋の扉が開き、メアが魔術師達がいることを確認すると手招きをして部屋を後にした
「この世界の魔術を消すなんて思わなかったな……」
一方その頃、家のベランダで一人夜風に当たっているノエルもため息をついていた。ぼんやりと月夜を見ていると、そよ風が吹き近くにある木々を揺らし、ノエルの足元に葉っぱが一枚落ちた
「まあ、アオイはそのつもりだっただろうけどさ」
落ちた葉っぱを見た後、リビングの片隅で大量に重なりあう本の方を見た。本の中で、アオイ達が寝ている姿を想像して目を閉じたノエル。顔を上げまた夜空を見上げると、空に向けて右手を伸ばした
「大丈夫、もう迷わないから」
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