第38話 隠していた日々の夢
「あれ?ここどこ?」
ゆっくりと目を開けたアオイ。目が少し開きづらく、目をゴシゴシと強めに擦りながらゆっくりと体を起こすと、さっきまでいたはずの家とは違い見覚えのない森の中にいた
「ここどこだろう……」
空を見上げると月が眩しくまた少し目を閉じつつ、目の前にある森の中を月明かりを頼りに恐る恐る歩くと、アオイの家を見つけホッとしていると、アオイが歩いてきた方向からボソボソと話す声が聞こえてきた
「確かこうで……えーと」
声が聞こえた方に向かうと、ノエルの声と月明かりが逆光になり影で見える姿が見えた
「なにをしているんだろ……」
木に隠れながらノエルの様子を伺うアオイ。ノエルの側に数冊の本が浮かび、その本達を交互に見ながらうつ向きつつウロウロと歩く
「相変わらずアオイの魔術は難しいな。最後くらいはもう少し簡単でもいいのに」
はぁ。とため息つきながら一人呟くノエルの周りには魔方陣が地面に大きく書かれ、その真ん中にアオイが横たわっていた
「まあ、最後だからこんなにも難しくて嫌な魔術にしたんだろうけどさ」
フフッと笑いながら魔方陣から出ると、周りで浮かんでいた本が横たわるアオイの側で舞い落ちた
「それじゃあ、はじめるよ」
ノエルの声の後、パンッと両手を合わせた音が響く。その音に一瞬ビクッと驚いて木に隠れたアオイ。その瞬間、強風が吹き荒れ、アオイのアオイの髪が大きく揺れた
「あの人の魔術?」
と、風を避けるため顔を腕で隠し片目を開けノエルの様子を見ると、落ちた本がまた舞い上がり、夜空に消えた
「またね、アオイ」
アオイが本に見入っている間にノエルが横たわるアオイの側に来ていた。一人ポツリと呟くと、二人がいる魔方陣から目映い光が放たれ、木から隠れ見ていたアオイもぎゅっと強く目を閉じた
「おはよう。やっぱりご飯の匂いで起きるよね」
聞き覚えのある声にまたゆっくりと目を開けた。ゆっくりと顔を動かして周りを見ると、見覚えのある部屋と二人を見て、眠りすぎて少し動きづらい体をゆっくりと起こした
「どした?」
「……私が見たのは」
心配そうな二人の視線を感じつつ、うつ向いて一人呟く。その声が二人には聞こえず、顔を見合わせていると、突然アオイが立ち上がり、本の上に乗ったままリビングをふわふわ浮かんで出ていった
「急にどうしたの?」
「私の後を見たの。ただそれだけ」
「……そう」
ノエルが小声で返事をすると、寝室からバンッと扉が勢いよく閉まる音が聞こえてきた。その音にアオイが困ったように笑いながら目の前にある小さなパンを取ろうと手を伸ばした。だが、パンを掴もうとしたその手はパンをかすめ、取ろうとしたパンは掴めなかった
「魔力が消えそうだね。もうすぐ本当に消えるかも」
と、右手を見つめ笑うアオイ。取れなかったのを見ていなかったノエルがその言葉を聞いて首をかしげていると、アオイがうーんと一つ背伸びをして立ち上がっ
「私達だけでちょっと魔術の確認してくる。ご飯は片付けないでいてね」
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