第3話 胸がぎゅっとなる出会い

「さすがにちょっと疲れたな……」

 学校の帰り道を背伸びをして足取り重く歩くノエル。寄り道で軽くご飯を食べようと、ふと近くにあったお店を見た時、歩く人達の中から一人立つ女の子を見つけた

「えっ、どうして……」

 ノエルが女の子を見て戸惑っていると、ユラユラと長く青い髪を揺らしながらノエルに近づいている

「だって、アオイは……」

 と、一人戸惑い呟いているとノエルの声が聞こえそうな程まで近づいていた女の子が立ち止まり、二人顔を見つめ合う

「あの日確かに、私が……」

 ノエルがまた一人呟くと、青い髪の女の子が一歩近づこうとした時、ノエルの肩がポンッと叩かれた

「ノエル、ここにいたの?というか、何をしているの?」

 声が聞こえて振り向くと、ナツが不思議そうな顔でノエルを見ていた

「なにかあったの?」

 ノエルが立ち止まり見ていた方をナツが見ると、女の子の姿はなく、ナツがまた首をかしげ不思議そうにしている

「いや、なにも。ただ日差しが眩しいなって思って……」

「いや、今日はちょっと曇っている……って、待って!」

 ノエルの言葉にナツが空を見ている間に、スタスタと歩きはじめていたノエルを慌てて追いかける

「やっぱりあの日のことは夢だったのかな……」

 背後からナツの声が聞こえる中、ノエルが独り言を言う。そんな二人の様子をすぐ側の路地で、青い髪の女の子が見ていた


「あれが私の名前……」

 胸の前に両手を置き、ぎゅっと手を掴む。ガヤガヤと騒がしく聞こえていた通りすがりの人達の音が聞こえなくなったような気がして、ふぅ。と一つ大きく深呼吸をした

「胸がとてもドキドキしたな……。あの人にまた会えるかな……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る