第268話 終焉(2)

 それも本当に気が触れたように暴れ、抗い、叫び、吠え続けたから。


 ダッ、ダダダ……と、荒々しい足音……。病院内は走ってはいけないといった決まり事、沈黙のルールもあるのにさ。国の法律、治安を守るお巡りさん達が、俺を逮捕! 束縛! 連行するために、病院内の決め事を破り、荒々しくこの部屋へと向かい、入室してきた。


「はぁ、はぁ」と息荒く、数人のお巡りさんがね。そして床に大の字で転がされ、取り押さえられている俺や医者の先生、看護師さん達を凝視して。


「この男ですか?」と。


「暴漢魔は?」と尋ね始めた。


「ええ、そうなんです」


「ええ、そうなんですよ」と、看護師さん達数人が困った声音で、お巡りさんへと、俺が暴漢魔! 悪者だ! と。


 この後もお巡りさん達へと、自分達が見た出来事を説明……。


 そして俺が今度はお巡りさん達に押さえつけられ、手錠をかけられる様子を凝視しながら。


「この人……。この病室に入院している患者さんの婚約者だと嘘偽りを私達に告げ、入室して。意識が無い女性患者さんに馬乗りになり暴漢を働いたのですよ」と。


 警察! お巡りさん達に嘘偽りを告げるから。


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