第256話 慌てて病室へと(3)

 ガシャン! と。


 エレベーターさまは、俺の要望に本当に答えてくれて、自身の扉を閉めた──。


 そして一気に、素早く、冴子佐奈が入院している階へと上昇してくれた気がする?


 まあ、俺の勘違いだと思うけれど、冴子佐奈の入院している階まで素早く着き──。自身の扉の方も何だか、いつもよりも早く開けてくれたような気がする。


 だから俺は慌ててエレベーターを降りて、「ありがとう」と彼か、彼女のかはわからないけれど。俺はエレベーターにお礼を告げ、廊下へと駆け足で向かう。


(あっ! い、いた! さ、冴子だ!)と。


 俺はあいつの横顔……。


 そう、アイツ、佐奈冴子の奴は、自身の入院している部屋へと吸い込まれるように消えていくのを俺は見届けつつ、脳裏で呟く。


 そして(よく間に合ったな、あの状態で……。もしかしてアイツは、階段で上がってきたのかな?)と。


 俺は自身の脳裏で呟けば。


「あの、入院患者の御親族様……。面会の受付の方が未だなのに、病室へと行かれると困るのですが。それも駆け足で……」と。


 俺は看護師さんから注意を受ける。


 だから「すいません」と「ごめんなさい!」だ。


 俺は看護師の彼女へと深々と頭を下げ、謝罪を入れた。



 ◇◇◇

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