第147話 新しい生活が始まる(5)

 でッ、いつもならば。


『あに、あの、あの……。えぇと、えぇと、えぇと……』と。


 俺自身、真っ青になりながら、お客さまに言葉を返すこともできずに、自分の身体中に湿疹……。


 胸痛、吐き気、寒気に、震えと。


 俺自身、お客さまへの対応が困難な状態へと陥る。


 でも、翌日の一番のお客さまの時から。


「えぇ~と、お客さん? 一つずつでよろしいのですか?」と。


 俺は若くて綺麗な女性……。


そう、俺が一番苦手としていたタイプのOLのお姉さんへと愛想良く! 商売人らしく対応ができるようになっていた。


『お~い! ワッフル! どうしたんじゃ、お前? 若い女と話しができて、接客できるようになったじゃないか?』と。


 この五味の市の名物おじさんこと、ちくわのおじさんが、俺の急な変わりように驚き、尋ねてくるぐらいになっている。


まあ、狸……。


それも?


信楽焼の狸のような顔をしたおじさんが。


信楽焼の狸よりも更に自身の瞼を大きく開けながら俺に尋ねてきた。


 だから俺はちくわのおじさんへと。


『ちくわのおじさん! 俺も何故姉ちゃん等と話しができるようになったか、よくわからん?』と言葉を返したぐらいだ。


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