第114話 俺の場合は(19)

 するとさ、冴子の奴は、余程俺が怖い顔をしているためか?


 俺の方を向きつつ、自身の首を振りながら。


「あなた、御免なさい。本当に御免なさい。許して」と。


 冴子が俺に謝る必要性はないのに。


 何故か冴子は、自身の両目からポロポロと涙を垂らしつつ、俺に謝罪をしてきたけれど。


 俺はそんな冴子の挙動不審な行動を見ても、俺自身が、気が触れているような状態だから。


 冴子がもう俺の話しを聞きたくはない。


 だから許してくれと嘆願をしてこようが。


「俺とアイツの会社の上司……。部長なんだよな。俺の元婚約者が乗っかって腰を動かしている男はさ……。俺があの男からアイツを奪ったのか? 俺があの男に盗まれたのかは? 俺自身もわからないけれど。あの男俺がアイツと結婚することを知っていると言うか? 俺元婚約者を連れてさ、あの男に挨拶しているんだぞ。それもさ、俺、あの男にさ、ヘラヘラ笑いつつ、御機嫌取りをしながら挨拶してさ。式の時のスピーチまでおねがいします、部長! とか、何とか、言った気もするさ。まさか、俺の元婚約者が付き合っているとは思わなかったから。俺さ、完全にピエロ汲んだよな……」、


「それにさ、俺同期の奴から聞いていたからさ。あの男がアイツの体調が崩れて直帰したってさ、言っていたことを……。要するに俺が外周りから帰るまでに、二人でラブラブSEXするために、会社にうそをついて直帰……。にゃん、にゃん、しているだけだってわかったから。その後は早かった……」と。


 俺は冴子にボォ~としながら告げた。

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