第21話 すすり泣く、女性の姿は(6)

 だから松原が先ほど、笑いながら。


『あのストーカー女、マジで足が速かったな』と告げてきたけれど。


 俺は速いどころの騒ぎではない。


 まるで神業!


 映画やアニメ、マンガ、SF、異世界ファンタジーな小説のヒロインさまみたいに足が速い! 速すぎる!


 だから俺は(可笑しい?)、


(少し変だ!?)と思いつつ。


 自身の部屋の前へと着けば。


 玄関の扉を開け、締め、靴を脱ぎ、部屋へと入ると。


 リビングの中央に置いてあるガラスの机の前に座り。


 自身の腕を組み、「う~ん」と呻り、考える人になれば。


「どうした、怪訝な表情をして?」


 松原が笑いながら呟き、尋ねてくるから。


 俺は松原に『何で俺達三人の、大人の男性が四人も追いかけて、あの女を捕まえることが出来ないのだろうか?)と尋ねようと思うから。


 俺は自身の口を開き。


「あっ、俺か? 俺は何故、あの女を……」と。


 松原に怪訝な表情をしつつ呟いたところで。


「いや、俺が尋ねているのは新作じゃなくて。部屋に入っても座ろうとしない。直樹と秀樹に言っているんだよ」と。


 松原が俺に、にへらと笑いつつ、告げてくるから。


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