3-2

無事に街の到着した俺たちは、最初に緑の豊かさに驚いた。

「すげぇ・・・これ、本当に砂漠の街か?」

地面は柔らかい若葉が生え、木には木の実や花が咲いている光景は外から来た俺には信じられない代物だった。

暑さも和らいでおり、エルムに聞くと街全体を結界で覆っているのが理由らしい。

次に驚いたのが、宿屋の豪華さだった。普通の宿を取ったはずなのに、あまりの豪華さに部屋を間違えられたんじゃ無いかと思い、慌てて何回も確認しては従業員さんに笑われてしまった。

「はぁ・・・フェル、これ夢じゃないよな?」

「・・・・うん。この感触はテオの息子さんだ」

「んぅ・・ふぁ・・・」

ベッドで寝転がる俺のズボンを下ろし、感触を楽しんでいるフェルを見ながら、沈むベッドの感触にどこかの王族にでもなったような気分だったが、息のかかる感触に見ていると匂いをスンスンと嗅いでこられ、慌てて起き上がってズボンを両手で隠す。

「おまっ・・・そこは嗅ぐなよっ」

「・・・良い匂いだった」

「汗だくな上に、洗ってないのに良い匂いな訳あるか!!フェルのも確認してやる!!」

恥ずかしさをごまかすように俺は、フェルに覆い被さりながら上着を捲っていくと思ったよりも、しっかりした身体つきしてて、そのことを言おうとフェルの顔を見て固まってしまう。

「・・ぁ・・・」

上着を捲られて、小豆色の乳首をのぞかせたり、薄らと割れている腹筋が露わになってるだけなのに、頬だけじゃ無くて耳まで真っ赤に染めて、瞳を潤ませているフェルに喉が鳴る。

「お、おまっ・・・上半身裸なんて普通にしてただろ・・?」

「・・・・されるの、恥ずかしぃ…」

「それ言ったら、俺なんて毎回恥ずかしいんだけどな・・・・」

むしろ今も俺の方が数十倍恥ずかしいと思うんだが、そんな事も頭から吹っ飛ぶぐらいにフェルの反応が初々しくて、なんていうか守ってやりたくなる。頬に手を触れるとスリスリと猫のように頬ずりをされ、自然と顔と顔が近づいてく。

ちゅ・・・ビクンッ!!

額に触れるだけのキスをすると、それだけでフェルは身体を大きく揺らし、両手で額を隠しながら困ったような顔で俺の方を見てくる。どんだけ照れ屋なんだと俺は苦笑しながら離れると、不意に上着を捕まれて止められる。

「どうした?」

「・・・・・・」

整った顔は火照ったように朱に染め、唇からは艶めかしい吐息を漏らしながら、潤んだ瞳で俺を見上げたフェルに俺の方も緊張して喉を鳴らしてしまう。

「・・・・・・まだ見たい」

「・・・・・・・・おう」

でも、フェルは雰囲気なんてものは一切気にした様子もなく、今日も変わらずに俺の裸に夢中になって、表情もいつの間にかいつもの無表情に戻っていた。

「・・・・勃ってる?」

「い、言うなよっ・・・・んぅ・・んふぁ・・・」

「・・・・可愛い」

それでも先ほどのフェルの反応に恥ずかしさで何も言えない俺の時間は何とも気恥ずかしかった。この時をきっかけに俺はフェルを意識し始めてしまっているのだが、それに気づくのはもう少し後だ。



今日のテオはなんだかとても不思議で、触キスをしてきたりと謎の行動を取ってきて、もしかして暑さで頭がやられたのではないかと心配になってしまった。

それに、翌日から二人っきりになると僕をエスコートしようとしたら、自分から下履きを緩めながら見るかと誘ってきたり、普段なら変態行動を取っている僕よりも奇行に走り続けているテオが心配だ。あと、あまり優しくされたり、カッコ良い所を見せられると僕の心臓が持たない。可愛いからカッコ可愛いに進化するなんて反則だ。

「・・・で? それをボクに相談されても困るんだけど・・・?」

なぜか、何もされていない筈のエルムがレイプ目になりながら言ってきて、薄い同人誌だったら熱くなりそうな顔になっている。

「決意した次の日に、なんでこんな相談受けるてるのかなぁ・・・ボクは・・・?」

「・・・・・ハンマーでテオの頭を殴ったら戻るかな?」

「止めなさい」

「・・・・はーい」

あれはあれで男らしいテオで格好良くていいのだが、頭をやられた状態で四天王の一人に挑むというのは流石に危険だから、治せるなら治した方が良いだろう。

「それで、ボクに何をしてほしいのか、さっぱり分からないんだけど・・・?」

「・・・・・一緒にテオの息子さんを観察してほしい」

「ほあっ!?」

「・・・見る時、何もしてなくても、いつも勃起しているんだ。頭の病気だけじゃないかもしれない」

エルフの一族は医学にも精通しているから、やはり患部を見て症状を診断してもらうのが一番手っ取り早い。

「それ、テオが泣くから止めようね?」

「・・・・・泣いてるテオも可愛い」

「う、うん、確かに可愛いだろうけども!!」

「・・・・エルムならテオのを何回も見てるから、今更テオも恥ずかしがらない」

「それは絶対にないからね!!はぁ・・・二人っきりで相談があるっていうから、てっきり・・・」

今日のエルムはやたらとテンションが高いようで、普段なら見慣れないような綺麗な格好をしている。おかげでレイプ目に際立っており、やっぱり薄い本が厚くなりそうだ。

「とにかく、それは病気じゃないから大丈夫だよ」

「・・・そうか。なら安心した」

「うんうん」

「・・・・じゃあデートに行くか」

「ほあう!?」

「? ・・・・その為に着こんできたんじゃないか?」

エルフが普段よりもきれいな服を着こむことがあるのは、儀礼や儀式への参加を除けば、好意を持つ相手の気を引く以外はないのに、そんなに意外そうな顔をされるとは思わなかった。

「・・・・もしかしてテオの方だったか?」

「う、ううん!!テオじゃない、テオじゃなくてフェルの方だよ!!・・・・気づいてたんだ」

「・・・・惚れるなよ?」

「もう無理だよ・・・あー、どうしてボクはこんな変態に惚れちゃたんだよ・・・」

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