また2人であの場所へ。

@akimoka

第1話

もしも僕の時間を君にあげられたらな、と言うと、きっと君はいらないよと言うんだろう。

 明るい照明、数えきれない本、ずらりと並ぶ棚と君が操作するパソコンの音。

 ひとつひとつが繋がって頭から流れてくる。

 「いつか全部忘れて、なくなってしまうならさ、人生には何にも要らないね」

 薄暗い部屋、大きいベット、長い点滴、弱々しい音の心電図。

 「君はもっと生きてね」

 大きな瞳から流れるその涙はいつかの大雨を想像させた。

 夏の甲子園が始まったくらいだった。

 僕が君のいる図書館に行ったのは。

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