いけいけ勇者様56

最上司叉

第1話

「たぁっ」


「はっ」


「やぁっ」


「そこまで」


「ありがとうございました」


ちび勇者は毎日師匠と修行していた。


ちび勇者は確実に強くなってきていた。


汗を流しご飯を食べる。


ご飯は自分で取った魚や獣だ。


それも修行のいっかんらしい。


「しひょう?まおうにかてまふか?」


ご飯を口いっぱいに頬張りながらちび勇者は聞いた。


師匠は答える。


「まだまだだな」


「そうでふか」


ちび勇者は少し落ち込んだ。


ご飯を食べ終えたら洗濯と薪割りが待っている。


【ゴッゴッゴ】


スープを流し込み食器を台所に持っていく。


洗濯物を持ち川に急ぐ。


【ゴシゴシ】


【バシャーン】


ちび勇者は洗濯のついでに川に飛び込み魚をとる。


【ヒョイヒョイ】


慣れた手つきで次々魚を取っていく。


魚と洗濯物を持ち小屋に帰る。


洗濯物を干し終えたら次は薪割りだ。


【スパーン】


【スパーン】


次々薪を割っていく。


こんなんで強くなれるのかちび勇者は不安だ。


だが師匠の言うことだから間違いないと自分に言い聞かせる。


「…」


そんなちび勇者を無言で見守る師匠。


「そろそろあれを渡しますか」


師匠はそう呟きどこかへ向かう。


そしてお昼ご飯。


「ちび勇者に渡すものがあります」


「!!なんでふか?」


「それは私が前に使っていた剣です」


「!!そんな大事なものを」


「はい、今の君になら大丈夫です」


【ゴッゴッゴ】


ちび勇者はスープを流し込み食器を台所に持っていき師匠とある所へ向かった。


そこは大きな岩で入り口が塞がれた洞窟だった。


「ここからはちび勇者1人で取りに行ってもらいます」


「1人でですか?!」


「これも修行です」


「分かりました」


ちび勇者は剣を構えて入り口を塞いでいる岩に向かい攻撃する。


【ドゴーン】


ガラガラと岩が崩れて入り口が見えた。


「行ってきます」


そう師匠に言いちび勇者は洞窟の中に入っていく。


洞窟の中の松明をつけながら歩いていく。


少し歩いて行った先に開けた場所があった。


松明をつけたそのときその時真ん中辺りの地面に剣が刺さっているのが見えた。


ちび勇者は急いで剣のところへ向かったその時ゴゴゴという音とともに剣が宙に浮いたのだ。


「!!」


「我の眠りを邪魔するのは誰だ?」


「剣が喋った!」


「貴様か」


「かっこいい!」


「覚悟」


喋る剣からいきなり突風がでた。


ちび勇者は吹き飛ばされる。


なんとか受身を取り体制を整える。


ちび勇者は反撃にでる。


【キィン】


【ゴォ】


【キィン】


「なかなかやるではないか」


「まだまだ!」


どうやら剣から突風がでる時は特徴がある。


それが分かればこっちの勝ちだった。


【ゴォ】


【キィン】


【ザシュッ】


「グアァ」


「勝った」


「おめでとう」


ちび勇者は驚き振り返るとそこには師匠が立っていた。


「や…はり…きさ…ま…か」


「元の持ち主に向かってなんですかその口の利き方」


「ふんっ認めておらぬ」


「そうですか」


「こんなところに閉じ込めた貴様など認めぬは」


「相変わらず凄い回復力ですね」


「師匠?」


「ちび勇者が勝ったので新しい持ち主はちび勇者ですね」


「ぐぬぬ」


「さっ帰りましょうか」


「はい」


ちび勇者は喋る剣を持ち師匠と小屋に帰って行った。


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