029:ミミックVSスケルトン〝強固な骨〟

 相手は骨の魔物――スケルトン。

 数は100体強。

 ならば、ここはこの技だ!!!


 必殺――回転攻撃スピンアタックッ!!!


 おらぁあああああー!!!


 大人数相手にはこの技だよねっ。

 ベーコマのように回転して一気に攻撃だ。


「WOOOOOO!!!」


 近付いてこようとも無駄だ。

 弾き飛ばしてやる。


「UUUUUUUU!!!」


 だっはっはっは!

 どうだ。私に近付くことさえできまい。


 私の回転が止まるまで、カラカラと骨が崩れ落ちていく音が鳴り止むことはなかった。


「キィィ。キィイイ? (よし。このくらいでどうだ?)」


 あっという間に100体強のスケルトンを倒すことができた。

 骨が硬すぎて体のあちこちが痛いけどね。

 でも勝った。勝ったぞー!

 私ってめちゃくちゃ強くなってる?

 いや、確実に強くなってるぞ!


「カパカパカパカパカパッ!!」


 ここまで圧倒的だと勝利の笑みも溢れてしまうわな。


 それにしても骨だらけの地面にはゾッとするなぁ。

 どこ見ても骨、骨、骨。

 ん?

 待てよ。

 なんで消えないんだ?


 モンスターは倒されると粒子になって消えるはず。

 それで代わりに魔石がドロップアイテムみたいに出現すると思うんだけど……。


 これってもしかして!?


「「「KARAKARAKARAKARA」」」


 ひぃいい!!

 ふ、復活したー!?

 カラカラ言ってる。

 こ、怖ぇええー!!


 そ、そうだ。

 ゲームとかアニメとかの知識になっちゃうけど、スケルトンとかアンデット系のモンスターって物理技が効かないんだった。

 まさかこの世界のスケルトンもそうだったとは……。

 確か光属性魔法とか聖女の力とかが有効なはず。

 って、私光属性魔法なんて使えないよー。 (聖女でもないしー!)

 というか魔法の使い方すらも知らないんだけどー!


 でも……私にはがある。

 私は牙を鳴らしながら一番近くにいたスケルトンに向かって跳躍。

 そして――


 必殺――噛み付き攻撃ボックスファングッ!!!


 貫通効果がある噛み付き攻撃ボックスファングなら、たとえ物理技が効かないスケルトンにも効くはずだ。


「UUUUUUUUU!!!」


 よしっ。効いてるぞ。たぶん……。

 それにしても硬い。硬すぎるぞ。

 このまま粒子になって消えてくれー。

 そうじゃなきゃ魔法を使えない私には勝ち目がない。

 そして牙がもたない。


「UUUUUU……」


 ぬあっ!!!

 噛み付いてる最中に粒子になったぞ!

 おかげで転げ落ちちゃったけど、そんなの気になんないくらいの朗報だ!

 私の噛み付き攻撃ボックスファングはスケルトンに効く!


 効くってわかったらもう逃げる必要なんてないよね。

 くっくっく。

 骨の髄までしゃぶり尽くしてやる!!!


 でもその前に、倒したスケルトンからドロップした魔石をいただくとしよう。


 ――ガリガリボリッ!!


 スケルトンからのドロップアイテム――白濁色の魔石を食べた。

 味は……骨って感じがする。

 スケルトンの魔石の味が骨って……普通すぎてつまんないね。


 魔石もいただいたということで……バトル再開、第2ラウンドといきますかっ!


「キィイイイイイー!! (覚悟しやがれー!!)」


「「「WOOOOOOOOO!!!!」」」


 まずはスケルトンの体を崩す。

 そうしなきゃ噛み付いてる間に他のスケルトンから反撃を受けてしまうからだ。

 体が崩れてる状態なら復活までに時間がかかるというのが、今さっきわかったからね。

 ということで――


 必殺――回転攻撃スピンアタックッ!!!


 もう一回崩れやがれー!!


 回転攻撃スピンアタックによって次々とスケルトンたちの体を崩していく。

 順調に見えるかもしれなが、実はそうじゃない。


 うぐっ。

 本当に硬いな。攻撃を当てるたびに体が痛む。

 攻撃を受けてないのに硬すぎる骨のせいで、攻撃した側も痛みを感じるなんて。

 スケルトンの骨は宝石以上の硬さってことか。

 レベルアップしてさらに強固になった私の体でも、こんなに痛みを感じるだなんて、どんだけ硬すぎるのよ!

 物理技しかない私にとっては本当に厄介なモンスターだよ。

 でも一掃完了!!


 私のスピードには流石に付いて来れないみたいだね。

 ではここからは地道な作業だ。


 必殺――噛み付き攻撃ボックスファング・3連ッ!!!


 地面に転がる骨に向かって連続で噛み付き攻撃ボックスファングをした。

 どの個体の骨かとか気にしている余裕はないので、本当に適当に噛み付きまくっている。

 骨をしゃぶる犬みたいな絵面だな。

 まあ、コレが一番安全な攻撃方法なんだけどね。

 それにしても硬いな。

 先に牙が砕ける可能性も浮上してきたぞ。

 いや、牙より先に体が限界を迎えるかもな。

 攻撃した箇所がズキズキ痛み始めてる。


 まあ、今回は無理せずレベリングしよう。

 クラーケンやキングラットの時とは違って、逃げ道もちゃんとあるしね。


「「「KARAKARAKARA」」」


 やばい。もう復活し始めやがった。

 完全に復活する前に、もう一度だ。


 必殺――噛み付き攻撃ボックスファング・3連ッ!!!


 おらおらおらー!!!


 必殺――噛み付き攻撃ボックスファング・3連ッ!!!


 3連を2連続でやったから6連なのでは?

 って、細かいことは気にしなーい!


「「「UUUUUUUU……」」」


 頭蓋骨の部分から断末魔が聞こえた。

 直後、骨が粒子となって消え、代わりに白濁色の魔石が出現した。

 その数4個。4体を倒したってことになるな。たったの4体か。

 まあいい。倒せてるんだからな。

 では、骨の味の魔石をいただいて第3ラウンドといきましょうか。


 ――ガリガリボリッ!!


 うん。やっぱり骨の味だ。不味くはないけど美味しくはない。

 私なりの考察だけど、魔石は美味しければ美味しいほど経験値が詰まってると思ってる。

 だからスケルトンの魔石はそんなに経験値がない。

 100体強を倒したとしてもレベルが上がらなそうだな。


 睡眠はどうだろうか。熟睡できればできるほど、その分の経験値がもらえるのではないか?

 魔石や宝石を食べるほどではないにしても、経験値はもらえると思っている。


 では、性行為は?

 食と睡眠通りに考えれば……最高に気持ちが良い性行為こそ、特盛の経験値がもらえるんじゃないか?

 もう経験値の大渋滞、大行列、大洪水なんじゃないの!?

 ヤってる最中にレベル上がりまくりなんじゃないか!?

 だとしたらこのレベリングの旅は、手っ取り早くイケメン冒険者を見つけて、ヤってしまった方が早い。


 まあ、そこまでいくために今こうしてやってる地道なレベル上げが必要なんだけどね。

 さて、色々と思考してる間にスケルトンたちは完全復活したかな?

 そろそろ第3ラウンドを始めたいんだけど……


 …………ん、ん!?


 な、なんかさっきより大きくなってない?

 骨格が増えたと言いますかなんと言いますか。

 それに形状が違うスケルトンもいないかい?


 あ、あれ……おかしいな……。

 私の目がおかしいのかな?

 いや、私の頭がおかしいのかも。ちょっとえっちだし。 (やかましいわ)


 これあれだな。

 あっちも本気を出し始めたってことだな。

 私をただの宝箱じゃなくて、敵だと……強敵だと認めたんだ。


 だから……こんな姿に。

 骨と骨を合わせて、合体して……。

 私は知ってるぞ。

 お前らみたいな見た目のモンスターを――


 私の正面に立ってるスケルトンは、骨の将軍――ジェネラルスケルトンだ。

 その奥にいるバカでかい骨の龍が――スカルドラゴン。


 くっそ。

 合体したことによってかなり強くなってるのがわかるぞ。

 私の毛が逆立ってやがる。いや、ミミックの私に毛はないか。

 じゃあ鳥肌が立ってる。いや、肌もないか。

 何が言いたいかって……この状況がやばいってことだ。

 ここでレベリングしてる場合じゃない。

 ジェネラルスケルトンとスカルドラゴンを同時に相手だなんて無理だ。


「「WOOOOOOOー!!!」」


 ひぃいいい。

 あっちはやる気満々みたいだけど、こっちはお断りよぉ〜。 (断固拒否)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る