K分岐3

礼拝堂への扉を勢いよく開ける。

当然だが人はいない、プロテスタントの教会には聖母の像はないが、

ただただ救われたい一心で目の前の十字架に手を組み祈る。


親とは違い、洗礼も受けていない、漠然と神のような存在はあるのだろうと思ってはいるが、それがキリストなのか、それとも神道のようにあらゆるものに神が宿っているのかは分からない。


しかし、今それは重要ではない、この訳の分からない状況から救ってくれるなら邪神だって構わない。


そんな失礼極まりないことを思いながら祈っていたが、モヤは室内にまで入ってきた。いや、むしろ空間そのものを飲み込んでいるようだ。



「●●、会いたかった」


●●、子供のころのあだ名だ。しかもそのあだ名で呼ぶのは彼女しかいない。

真っ暗な空間で薄れていく意識の中、懐かしい声に少しだけ安心し醒めない眠りに堕ちた。



【DEAD END】

ひとつ前に戻る。

https://kakuyomu.jp/works/16817330668125555555/episodes/16817330668130266691























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