魔法少女が異世界に召喚されたらただの変身マニアになって王様から溺愛されています
南雲葵巴
第1話 魔法少女終わりました
「アクアスプラッシュ!」
愛花とりるは長年対峙していた悪の組織クロスクロムの総帥バーゲストを打ち倒した。
「りる!やったね!」
相棒の相沢りるを私はぎゅっと抱きしめる。
りるは熱血漢で仲間思いの理想的なリーダーだ。
「愛花のおかげだよ!私、愛花がいたから頑張れたんだ」
りるはそういうとニコッと笑った。
「でもこれで変身ともお別れだね。不謹慎だけどちょっと寂しくなるね」
りるはそういうと萌えるような赤いロングヘアとフリルトレースたっぷりなミニスカートをつまんでそう言った。
「女神フェリーチェ様からお預かりしている力だもんね。この格好、もうできなくなるのは確かに寂しいかも。結構気にいってたから」
私も自分の美しい水色のロングヘアとフリルとレースたっぷりのミニスカートをつまんでひらりと1回転した。
その時だった。
私の周りに不思議な魔法陣が現れて私は光につつまれた。
愛花が何かを叫んでいたが何故か声が聞こえない。
あまりに眩しくて目を瞑ってしゃがみ込む。
(もしかしてバーゲストがまだ生きていて私に攻撃を!?)
その可能性にゾッとした。
私がやられたら2人でやっと倒したバーゲストだ。りる1人では倒すのは難しいだろう。
(りる!りる!お願い無事でいて!)
そう願いながら手を握って女神様に加護を願ったところで光が薄れていき、私は目を開けることができた。
目を開くとそこにはローブを被ったゲームに出てきそうな格好をした人々が私を取り囲み、何かを喜んでいた。
周りを見回すと甲冑を着た騎士のような人、その中心に絹のように美しい光沢のある銀髪に、青い宝石のような瞳を持ち、おそらく180センチ以上はあるだろう。
高身長の男性が威圧的な瞳で私を見つめてきた。
「あなたがこの世界を救ってくれる聖女様なのか?随分と派手な身なりだが、見た目は聖女とは思えない。この召喚は失敗だったのでは?」
男性は口を開くと私を嫌そうな顔で私を見つめてきた、一番上等なローブを身につけた男が男性の前に進み出て言った。
「いえ、異世界で最も強い癒しの力を持った人間を召喚しましたので間違いないかと」
ローブを身につけた男性が私を振り向くと矢継ぎ早に言った。
「あなた様はこの世界を癒す者であり、この世界を統治するアベル殿下の妃として召喚された聖女様です。どうかこの世界のために立派なお世継ぎをお産みください」
私はあまりの事態に呆然とした。
(私が聖女?王様の妃?お世継ぎ??)
私はその場にへたり込んで、その瞬間変身が解除されて普通の少女である私に戻った。
その瞬間場がざわめく。
「見たか、先ほどまでの容姿と随分変わった。美しいが髪の色も目の色も違う」
「あんな魔法見たことがない。あの方は本当に聖女様なのだろうか」
そんなヒソヒソ声が聞こえてくる。
だが騎士に囲まれた王と呼ばれた男性だけはそんな私に興味を抱いたようで私に近づくと私の前に跪き、聞いてきた。
「そなたの名は?」
「えっと、七星 愛花です」
「では愛花と呼ぼう。愛花は私のことをアベルと呼べ。いいな?」
そういうとアベルは私の手をとってそっとキスをした。
「え!?え!?キッ…キス!?」
私は突然のことに動揺して慌てふためいたがアベルはそんな私の様子を無視して立ち上がると手を叩いた。
すると控えていたのだろう。数人の侍女が私を取り囲み、助け起こしてくれると私を連れて歩き始めた。
「こちらの世界に来てまだ間もない。混乱してるだろうから部屋で少し気持ちの整理をするといい」
そう言って侍女達に連れてれていく私の背中に向かってそう言った。
私はされるがままになって侍女達に連れられてとある部屋に通された。
そこは天蓋付きの豪華なベットに白を基調とした可愛らしい家具が配置された可愛らしい部屋だった。
「すごい!まるでお城のお姫様の部屋みたい」
私がポツリと呟くと侍女の1人が微笑みながら言った。
「本日からこちらが愛花様のお部屋になります。ここは王城ですし、そしてあなた様はアベル殿下の妃となられるのでおっしゃることはほぼ当たっております」
私はめまいがした。
やはり私は妃となることが決定しているらしい。
「あの、あなたのお名前は?」
「はい。私は侍女長のライザと申します」
そう言って深々とお辞儀した。
「さあ愛花様、早速湯浴みをしてお着替えを。アベル殿下から本日は混乱されてお疲れでしょうから、もう休むようにと言いつかっておりますので」
ライザはそういうと部屋の隣にある湯殿に私を導くとなんとブラウスに手をかけて脱がせ始めた。
「きゃあ!ちょっと待って、自分で脱ぎますし、恥ずかしいから早く出ていってください」
するとライザは微笑みながらすごい圧を出して言い切った。
「いけません。あなた様はこの世界で最も大切なお方。お着替えもお風呂も全て我ら侍女の役目なのです。どうか我らから仕事を奪わないでください。もしあなた様のお世話が出来ないのであれば我らはお役御免。路頭に迷うでしょう」
「私が拒否したらそうなるの?」
お役御免と聞いて私はちょっと怯んだ。
「なります。私達の存在意義はあなた様のお世話をすることだけですので」
そういうとまた私の服を剥がし始めた。
(うう。死ぬほど恥ずかしいけどこの人たちのためなら…我慢)
その後はもっと大変だった。
なんと体も髪も全て侍女達の手によって洗われたのだ。
お風呂が終わると私はぐったりして早く休みたかったのでフカフカのベットに潜り込んで目を閉じた。
(これはきっと夢ね。バーゲストを倒して浮かれている私がみている夢)
そう思いながら目を閉じた。
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