第19話 不可能魔法
『ふっふっふ!ここまで沢山の敵を倒して、俺のところまで来たのだろう。…だが、残念だったな勇者ども』
『何!?』
『蘇るがいい!』
と魔導師が言うと今までに倒した雑魚や四天王が魔導師の言葉の通り蘇り、再び俺たちの前に立ちはだかった。
『う…うそだろ…』
『倒すまでにかなり苦労したヤツもいるだろう?味方を犠牲に倒した敵もいるだろう?』
『くっ!』
『こうすればお前達を確実に殺せる!…あぁ、こいつらをいくら倒したって、殺したって構わんよ。俺の蘇生魔法で蘇らせるだけだからな』
『くそ!だが、お前を先に倒せば』
『…倒せるかな?』
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この世界で実現できないと言われている魔法がいくつかある。
色々な理由から出来ないとされており、ファンタジーものの物語で当たり前のように使われる魔法だ。
例えば、魂や生物の生死に関係する魔法。このアニメの「蘇生魔法」なんかもその一つ。
出来ないと言われている理由として、魂というものが実在するのか?生死を魔法に組み込めないといった問題があるからだ。
あとは転移魔法、テレポートやワープといったもの。これらはシンプルに物理学的に生身の生物では不可能であるとされているからだ。ただ、魔法学の観点からは可能であるという見方もあるらしい。
ピンポーン!
「ん?誰だろ」
ソファで小説を読んでいた澪が言う。誰だ?特に用事は無かったはずだが…
「…出てくるわ」
「は~い」
玄関まで行き、扉ののぞき窓を見るとスーツを着た女性が立っていた。
怪しいけど、まぁどうにかなるか。
と思い玄関を開けると
「ここは佐藤征人さんのお宅ですよね?」
「まぁ、はい」
「では」
と女性はどこからともなく紙袋を出し、渡してきた。
「近々、近くに引っ越してきますコーネルディ・ニリストスの執事であります、マイナ・アナラストと申します。こちらは引っ越しの手土産です」
「あ、はい」
「それとコーネルディお嬢様は佐藤征人さんと同じ百野高校に入学予定です。どうかよろしくお願いいたします」
へぇ、転校生ねぇ。
「本来ならお嬢様がこうした挨拶に向かわなければいけないところですが、手続きなどで出国が遅れている都合上、私のみの挨拶となってしまいました。誠に申し訳ありません」
「全然良いですよ。ところでどこの国ですか?」
外国人ならその国の言葉は一応知っておいた方がいいだろう。
「…オーストリアですが、言葉についてなら気にしなくても大丈夫です。日本語の教育を受け、伝統、仕来り、法律など日本の一般的なことはすべて学んでおります。なので普通に接していただければと思います」
あ、そうなんだ。
「そうですか」
「ところで、お隣は宝剣澪さんのお宅ということでよろしいでしょうか?」
「そうですよ。澪なら…」
と澪は家にいることをマイナさんに伝えようとしたが…
次の瞬間には目の前から消えていた。まるで元からいなかったように。
…もしやと思い、澪の家の玄関を見てみると
ピンポン!
と汚れもしわもないスーツのマイナさんが手ぶらでチャイムを押していた。
…実現できない魔法がいくつかある。…が、ただ方法が見つかっていないだけかもしれない。
観測した異世界~魔法を添えて~ ようび @tyovi_1_4
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