観測した異世界~魔法を添えて~

ようび

第1話 人生とは

人生は良く分からない。良い人生か悪い人生かは人それぞれの価値観で決まるもので、一般的に決まるものではない。「○○してないから人生損してる」や「○○すると人生を幸せに過ごすことができる」なんて所詮は価値観の押し付けで、それを無視したり受け入れたりしたから人生が良くなったり悪くなったりする訳じゃない。価値観がただ変わっただけで人生は変わらない。人生が変わるのはいつも突然のことからだ。自然災害、大規模な感染症、世紀の大事故、いやどんなに小さなことでも人生が変わる人はいる。身内の不幸で変わる人もいるし、人と突然会うことで変わる人もいる。芸術を見て変わる人も、自然に触れて変わる人もいる。人間は突然のことに弱いからそうなる。人から教えられた人生の変え方は教えられて実践しようとするまでラグがあるし、何より自分でやらない選択肢も取れる。そんなものに人生を変える力なんてこれっぽっちもないと自分は思う。


「…これなに?」

「これ何って、グループワークのお題「人生について」の俺なりの考えを綴った紙だが?」

「いや、「人生は良く分からない」から始めるのは、まぁいいよ。でもこれはなに?最初に「良い人生か悪い人生かは人それぞれの価値観で決まるもの」って言っているのに、途中で「価値観がただ変わっただけで人生は変わらない」って矛盾しているし、最後は「人から教えられた人生の変え方には人生を変える力なんてこれっぽっちもない」ってそうかも知れないけど、あまりにも限定的過ぎない?」


「矛盾はしてない。人生を決める要素の中にその人生の人の価値観が入っているから「人生は価値観で決まる」。でもあくまで価値観は人生を決める要素だから価値観が変わっても他の要素が変わったら人生が変わらない可能性があるから「価値観がただ変わっただけでは人生は変わらない」。合っているだろう?」


「ならそう書け!…で最後のは?」

「俺の思ったことだ。問題無いだろう?」

「はぁ~~ぁ。まぁ、いいや。早めに出してくれただけマシだよ。これが提出ギリギリに出てきたと思うと…」

ブルブル


「他の二人は?」

「流石にまだでしょ。アンタが早すぎなだけ」


====


次の日


私の人生は甘い物!チョコレートにクッキー!ケーキにシュークリーム!プリンにその他のお菓子!甘いものを食べないのは人生損してるよ!


自分の人生は魔法が大半でした。幼い頃に父親の使った魔法がとても綺麗でした。そして自分で魔法を使った時、私の人生に色が付いたのです!魔法は鮮やかで繊細で、まるで命の炎のように揺らめく。そんな魔法を使っていると自然と興奮するのです!やはり美しい。華麗だ!こんな魔法を使えるのは幸せだ!この文を読んでいる君!私と一緒に魔法を使わないか?魔法の美しさを知れば人生を幸せに過ごすことが出来るだろう!


「…」

「…」

「私はこれらをどうまとめればいい?」

「知らん」


これは普通の世界の物語。ちょっと魔法があって、亜人種がいてダンジョンがある。魔法機械があって、空の人身事故が起こる。そんな世界の物語。

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