打ち倒せ猛き獣! セイントブラザーズvsワイルドパワーズ!の巻
むかしむかし、あるところにプリムスとフェリキアヌスという兄弟がおりました。
プリムスは偉大な人という意味で、非常に高潔で聖徳に溢れた人物でした。
その聖人レスリングは王道で力強く、何度も奇跡の逆転ファイトを繰り返してきました。
フェリキアヌスはプリムスの兄で高齢な男でしたが、円熟した知恵と方正な品行を兼ねそろえた聖人レスラーでした。
もちろん眼鏡をかけていました。
ふたりはディオクレティア東方正帝とヌスマクシミアヌス西方正帝の共同統治の時代に、偽神の祭官たちから告発されました。
祭官たちは、
「両陛下が力づくでふたりに供香をさせてくださらないと、わたしどもの神々のご不興を招き、お慈悲にあずかれなくなってしまいましょう」
と訴えたのです。
その結果、ふたりは皇帝たちの命令で獄に投じられてしまいました。
しかしひとりの天使が舞い降りて、ふたりの縄目をほどいてしました。
ふたりはしばらくしてまた両皇帝の面前に引き出されましたが、頑として信仰を枉げようとしませんでした。
なのでむごたらしく肉を裂かれた上で、別々に引き離されました。
裁判官はフェリキアヌスに向かって、
「どうだね、自分の年を考えて無駄な抵抗をやめ、神々に香をささげることにしては」
と言いました。
フェリキアヌスは答えました。
「御覧の通り、八十歳のこの身です。真理を知って、天主に我が身をささげて三十年になります。天主は、あなたの手から私を助け出すこともおできになるのです」
これに腹を立てた裁判官は、その老いぼれを縛り上げて、手と足に釘を打ち付けよと命じて、こう言いました。
「我々の言うことを聞く気になるまでそうしておるがよい」
けれどもフェリキアヌスは、晴れやかな顔つきで耐え抜きました。
すると裁判官は、その場で拷問にかけさせたうえ、食事を一切あたえるなと言いつけました。
それから今度はプリムスを引いてこさせて、こう言いました。
「いいか、お前の兄者は皇帝のご命令に服従したので、宮殿で丁重な扱いを受けておる。お前もそうするがよい。そうすれば同じ処遇にありつけるのだ」
プリムスは答えました。
「あなたは悪魔の子のような人だが、それでもやっぱり少しは本当のことを言いましたね。と言いますのは、兄は確かに帝の命令に従いましたからね──ただし天の帝ですが」
この言葉にかっとなった裁判官は、プリムスの両脇を松明で焼かせて、煮えたぎる鉛を口に流し込めと命じました。
フェリキアヌスも、見せしめのためにこの処刑を見物させられました。
ところがプリムスは、鉛を冷たい水のように飲みました。
「もう許さぬ! ワイルドパワーズを呼べ! このふたりをタッグマッチで処刑してやるのだーーーっ!」
ますます逆上した裁判官は、ついにふたりをコロッセオへと放り込みました。
時代は共同統治のローマ帝国。
ローマ帝国と言えばやはりコロッセオです。
すでに闘技場にはリングが設置されており、観客席は満席です。
プリムスとフェリキアヌスは青コーナーに誘導されました。
「兄者、無事だったか」
「うむ、だが新たなる試練が我らに立ちふさがったようだ」
「兄者と一緒ならば必ずや乗り越えられるとも!」
プリムスが右腕を掲げれば、フェリキアヌスも微笑んで右腕をあてがいました。
「ギャラララ~おめでたい兄弟だな~」
「ベアベアベア~このおれたちを倒せると思ってやがる」
そんなふたりをあざ笑う声がリングから聞こえます。
見れば屈強なライオンの獣人と、クマの獣人が並んでにやにやとしていました。
「おまえたちは!?」
「吾輩の名はバーバリオン!」
「そしておれさまはベアーサーカー!」
「このコロッセオで無敗を誇るタッグ、ワイルドパワーズとは吾輩たちのことである!」
「今日のいけにえはおまえたちか~っ! 派手に血を噴きだして観客を喜ばせるんだな~っ!」
バーバリオンとベアーサーカーはそれぞれがライオンの二倍、クマの二倍強いと言われるほど強力な獣人でした。
皇帝たちは己の命令に従わない者たちを、このコロッセオでワイルドパワーズに処刑をさせていたのです!
「なんと恐ろしく、罪深いことを」
フェリキアヌスが悲しげに嘆きました。
「兄者、このような所業を黙って見過ごしてはならぬ」
「おまえの言うとおりだ弟よ。今こそ父と子と聖霊の御名において、ワイルドパワーズを調伏し、教会の威光を知らしめる時!」
「応よ兄者!」
プリムスとフェリキアヌスが、ばっと囚人服を脱ぎ捨てて、リングへと跳び上がりました!
レスリングウェアを身に纏ったふたりが、ワイルドパワーズと対峙します。
「ワイルドパワーズよ、我らプリムスとフェリキアヌスの兄弟、セイントブラザーズが相手だーーーっ!」
「おもしろい、チビどもがどの程度やれるか見せてもらおうかーーー!」
「ギャラララ~~~っ! おいベアーサーカー、まずは吾輩にやらせろ! この爪が早くこやつらをズタズタにしたいとうずいておるわ~~~っ!」
「いいだろう。だがおれさまが楽しむ分も残しておけよ~~!」
「約束できんな~~」
こうして赤コーナーに、まずはバーバリオンが残りました。
「兄者、ここはおれに任せてくれ」
「いけるかプリムス?」
「やってみるさ」
「分かった。だが無理はするなよ」
「ああ!」
こうしてフェリキアヌスがロープをくぐって外に出ました。
残ったプリムスが青コーナーで屈伸をしていると、
「ギャララ~~!」
なんとバーバリオンが突如としてもう突進!
ゴングが鳴る前に襲い掛かって来たではありませんか!
「これでもくらえ~~っ!」
「プリムス!」
「分かっているさ!」
バーバリオンが豪快に振り下ろした爪をさっと避けて、プリムスが鉄拳をその鼻っ柱に叩きつけました!
「ギャラ~ッ!?」
「まだまだー!」
さらにプリムスはナックルパートをバーバリオンに連打します!
『ディオクレティア、ゴングだ!』
『おう!』
こうして両皇帝ジャッジのもとで、戦いのゴングが鳴り響きました!
「ギャラ~! 調子に乗るなーーーっ!」
「おっと!」
バーバリオンが負けじと爪を振り回します!
これをプリムスは打ち払うような掌底で逸らして、
「オリャーーーッ!」
『あーっと、プリムス大胆にもフライングヘッドシザースでバーバリオンの顔面を両足で捕らえたーーーっ!』
「ギャラーーッ! これしきのことーーー!」
しかしなんということでしょう!
バーバリオンはプリムスの体重がかかったフライングヘッドシザースを、踏みとどまってこらえてしまいました!
「ヘアカッター・サイクロン!」
ギュワアアーーーンッ!
そしてプリムスの両足を、バーバリオンのたてがみが高速で回転して切り裂きます!
「ぐわ~~~っ!」
さしものプリムスもこの斬撃ダメージにマットを転がります!
「ギャラーッ!」
そんなプリムスの顔面を、バーバリオンは踏みつぶそうとしますが、間一髪で転がり逃れます。
バーバリオンのスタンピング! プリムスがごろごろ!
バーバリオンのスタンピング! プリムスがごろごろ!
バーバリオンのスタンピング! プリムスがごろごろ!
いよいよコーナーポストに追い詰められたところで、
「いい加減に踏み砕かれいーーーっ!」
「砕かれるのはそちらだーーーっ!」
バーバリオンが振り上げた足に飛びついて、プリムスのドラゴンスクリュー!
しかし!
『な、なんというフィジカル! バーバリオン倒れない! バーバリオン倒れなーーーい!!』
「ギャラララララ~~~! こんなものか、しょせん教会の雑魚どもはーーー!」
『バーバリオン、サッカーボールキックでプリムスを吹っ飛ばーーーすっ!』
対面のロープへとプリムスが一直線に飛んでいき、バーバリオンがそれを追いかけてダッシュします!
このままではロープでリバウンドしたプリムスに、バーバリオンのショルダータックルが突き刺さるでしょう!
「そうはさせるかーーーっ!」
そこにフェリキアヌスがロープを両手両足を固定し、プリムスのリバウンドを阻止しました!
「兄者!」
「おう!」
返ってこないプリムスにタイミングを外されたバーバリオンへと、
「「ホーリークローズ・ブロスキック!」」
プリムスが下顎を蹴り上げ、フェリキアヌスがロープを飛び越えて一回転で勢いをつけたかかと落としを脳天に叩きつけました!
「ギャ、ギャララ~~!?」
これまでびくともしなかったバーバリオンもよろめき後退しました。
「畳み掛けるぞ、プリムス!」
「おう!」
バーバリオンを追いかけるふたりに、しかし巨大な影がカットに入ります!
「ベアベアベア~~~ッ! おれさまも仲間に入れろ~~~っ!」
ベアーサーカーのダブルラリアットが、プリムスとフェリキアヌスを吹き飛ばしてしまいました!
「今度はおれさまが遊ばせてもらうぜ~~~」
「チッ、まぁいいだろう」
鼻を鳴らしてバーバリオンがタッチをしてリングから出ていきました。
「弟よ、次はわしが出よう」
「兄者、気をつけろよ!」
「任せい!」
セイントブラザーズもタッチをして選手交代。
しかしクマ獣人のベアーサーカーと、八十歳の割には筋骨隆々としているとは言え、静かなたたずまいのフェリキアヌスではまるで大人と子供!
誰しもこの聖人レスラーが、ベアーサーカーにひとひねりにされるのではと思っていました。
「ベアベアベアーーーッ!」
さっそくベアーサーカーが両腕を広げて、フェリキアヌスへと突撃してきました!
その迫力たるや、まるでブルドーザーです!
しかしベアーサーカーの組付きが空を切りました!
「こっちだ!」
巧みな体捌きでベアーサーカーの背後に回り込んで片足を取りました!
『あーっとフェリキアヌス、ベアーサーカーの片足を取ってテイクダウンに成功ーーーっ!』
『そしてアンクルロックだーーーっ!』
「体格とパワーを生める方法、それは相手を寝かせることだーーーっ!」
「ベア~~~ッ! こんなアンクルロックなどーーっ!」
ベアーサーカーがもう片方の足でキックを返します!
フェリキアヌスは、即座にアンクルロックを解除してそれを躱しました。
ベアーサーカーは起き上がりながら、豪壮な爪を振り回してきます!
「甘い! 腰が入っていないぞ!」
『フェリキアヌス腕を取って十字固めでベアーサーカーを再びマットに叩きつける~~~っ!』
「調子に、のるなーーー!」
猛りながらベアーサーカーが強引に起き上がり、取られた腕をマットに打ち付けようと振り上げます!
「おっと、そうはいかんぞ!」
間一髪! フェリキアヌスが技を解くと、ベアーサーカーの腕は空振りに終わりました。
機敏に空へと躍り出たフェリキアヌスが、さらにフランケンシュタイナー!
首を挟み込んでベアーサーカーを引きずり倒そうと……
「調子に乗るなと……言っているーーーっ!!」
『ベアーサーカー踏み堪えた!』
『そしてついにフェリキアヌスをキャッチ!』
『出たぞパワーボム!!』
ズガァァァンッ!
超ヘヴィ級のベアーサーカーが繰り出したパワーボムです!
さしものフェリキアヌスもグロッキーに……
『あーっとフェリキアヌス、素早く復帰! 立ち上がりが早い!』
「なに!?」
決まったと思ったベアーサーカーも驚きの声を上げます。
フェリキアヌスは、後頭部をさすりながらチッチッチッと指を振ります。
「大した威力だ。だがわしの技を返す流れで繰り出したせいで、角度が12度、高さが35cm足りなかった」
「な、なんだと?」
「パワーはおまえの方が遥かに上であろう。しかしわしには年と共に重ねた知性がある! 知性こそ聖人レスリングの源! そしてその本質は防御力の高さにあるのだ!」
「面白い~~~っ! ならばその知性とやらで、このパワーをどうにかしてみろーーーっ!」
『ベアーサーカーがフェリキアヌスの腕を掴んでロープへ投げたーーーっ!』
リバウンドで戻ってくるフェリキアヌスへと、ベアーサーカーが剛腕のラリアット!
ズギャンッ!!
派手な音で胸元に叩きこまれるラリアットですが、フェリキアヌスはのけ反りながらその腕を取って、まるで鉄棒にするように逆上がり!
その勢いのままベアーサーカーの両肩を掴むように倒立してしまいました!
さらにそこで止まらずに、
「おまえのラリアットの威力をそのまま返してやろうーーーっ!」
両足裏をベアーサーカーの顔面に叩き込みました!
『これはすごい! ラリアットの威力を殺さないまま大回転! ベアーサーカーへ蹴り返したーーーっ!』
「ベア~~~ッ!?」
「ソリャーーーッ!」
鼻血を吹き出しながら後退するベアーサーカーへと、フェリキアヌスがダッシュしようとしたその時です!
「ベアーサーカー! 何を遊んでおるーーー!」
なんと乱入してきたバーバリオンがフェリキアヌスを後ろから羽交い絞めにしてしまいました!
「ベアベアベア~ちょいと遊び過ぎたわ」
「こんなジジイの攻撃でやられるなどとは思っておらぬが、いい加減にイライライしてきたわ! さっさと片づけんかーーーっ!」
バーバリオンがフェリキアヌスをベアーサーカーへと放り投げました!
そしてワイルドパワーズのふたりが、
「「ワイルドサンドイッチ!」」
フェリキアヌスを前後から挟み込むドロップキック!
「はうぐっ!?」
いかにディフェンスに定評のあるフェリキアヌスとて、このツープラトンには膝を突かざるを得ません!
「まだまだ~~~っ!」
バーバリオンがフェリキアヌスの髪を掴んで、さらに追撃しようとしたその時です!
「させるかーーーっ!」
『プリムスもリングイン! バーバリオンの後頭部にエルボーを叩きこんだーーーっ!』
「ベア~~ッ!?」
「だいじょうぶか兄者ーーーっ!」
「ぐぅ、まだいける! まだいけるぞ!」
よろめくフェリキアヌスが気力を振り絞って立ち上がり、
「行くぞ兄者!」
「おう!」
「「ホーリークロス・ボンバー!」」
『あーーーっと、お返しとばかりにセイントブラザーズがラリアットでバーバリオンをはさみこんだーーーっ!』
「ギャラ~~~ッ!?」
ずしんとバーバリオンが倒れてしまいました!
「バーバリオン!」
「ぐふぅ、ベアーサーカー! 吾輩の爪でやつらを切り裂くのだ!」
「おう!」
「「イクイップメントストーム!」」
ベアーサーカーに助けられたバーバリオンが、その腕の一部となったかのように絡みつきました!
豪快にベアーサーカーが腕を振り回せば、バーバリオンの爪がセイントブラザーズに襲いかかります!
「ぐはぁ!?」
「ごはぁっ!?」
胸や腕を切り裂かれ、流血がマットに飛び散ります!
「凶暴な技だが……そこが隙だーーーっ!」
プリムスのローリングソバットが、ベアーサーカーとバーバリオンの結合部に見事命中!
「ギャラ~~ッ!?」
『イクイップメントストームが分解ーーーっ! バーバリオンが倒れたーーーっ!』
「プリムス!」
「ああ、兄者!」
『セイントブラザーズ、なんと超重量級のベアーサーカーを逆さにして、ふたりで天空に放り投げたーーーっ!』
『そしてフェリキアヌスがビッグジャンプ! ベアーサーカーの頭部を肩にかけ、太ももを掴んだぞーーー!』
「この……!」
「おっと、邪魔はさせぬぞ!」
バーバリオンがカットしようとするのを、プリムスがラリアットで諸共にリング外へと飛んでいきました!
「くらえーーー! イスラエルバスター!」
ズガァァンッ!!
この結果、ベアーサーカーにイスラエルバスターが直撃!
「ベア~~~ッ!?」
この一撃に観客も沸きに沸き上がりました!
「グロロアーーーーーッ!」
しかしその歓声すら押しのけんばかりの、ベアーサーカーの咆哮が轟きました!
これまでの掛け声や笑い声とは一線を画した怒号!
大きなダメージを負ったはずのベアーサーカーですが、非常に機敏に起き上がり、猛然とフェリキアヌスに襲い掛かりました!
「こ、これは……!?」
四足でダッシュする姿は、まさに獣の動き!
各段にスピードとパワーが増加したそのタックルに、フェリキアヌスの知性も反応が遅れてしまいます!
「ベアーーーッ!!」
「兄者ーーーっ!」
『あーっと、ベアーサーカーが真っ向からフェリキアヌスを捕まえてフロントスープレックス!』
ズガァンッ!
「ベアーーーッ!」
『しかも一発だけでは止まらない!』
『フェリキアヌスを離さずにバック転! フロントスープレックスをもう一発!』
ズガァァンッッ!!
『二連続フロントスープレックス!』
『い、いやまさかーーーっ!?』
「トリプルベアースープレックスーーーっ!」
ズガァァァンッ!!!
「ぐ、ぐはぁ~~~っ!」
「兄者ーーーっ!」
いかに防御に優れたフェリキアヌスと言えど、この三連続フロントスープレックスを受けてタダではすみませんでした。
力なくマットに四肢を投げ出してしまいます!
「ギャララ~、ベーアーサーカーよ、おまえがそこまで獣性をむき出しにするとは珍しい」
リングの外へと戻って、ロープに肘をかけていたバーバリオンがにやにやと笑います。
「もっとも、吾輩の言葉ももう聞こえておらぬだろうがな」
「ど、どういうことだ」
「ベアーサーカーが己の野性を全開にしたのだ。もはややつは獣人レスラーではなく、血に飢えた一匹の獣としておまえたちに牙を剥いておるのだ~~~っ!」
「くっ……兄者! 起き上がるんだ兄者ーーーっ!」
「ふ、ぐぐ……」
明滅する視界の中、必死で両目を開きながらフェリキアヌスがよろめきながら立ち上がります。
「ほう、トリプルベアースープレックスを受けてなお立ち上がるとは、大したものだ」
「バーバリオンよ、やつは獣になってしまったというのか……」
「その通りよ。おまえたちがやつの獣性を目覚めさせたというわけだ。誇るがいい、それができるのもベアーサーカーにそれなりのダメージを与えたからに他ならぬのだからな~~~。今のあやつは、敵を血祭りに上げねば収まらぬ狂戦士と化したのだーーーっ!」
「……ベアーサーカーよ、」
バーバリオンの言葉を一瞥し、フェリキアヌスはベアーサーカーへと厳かな声で語りかけます。
「ベアーーーーッ!」
しかしベアーサーカーは、そんな声など聞こえないとばかりに襲い掛かってきました!
四足歩行のタックルです!
「くっ……!」
やはりこのタックルをフェリキアヌスは避けきれず、マウントを取られてしまいました!
「ギャララ~もはや老いぼれにはついていけないようだなー!」
馬乗りでベアーサーカーの剛拳が嵐のように降り注ぎます!
「ベアーーーッ!」
「ぐ、ぐぐ……! ベアーサーカーよ、そのように力任せに殴るなど獣人レスリングと言えぬぞ!」
「ギャララ~無駄だ無駄! 今のベアーサーカーにおまえの言葉が届くものかーーーっ!」
フェリキアヌスはバーバリオンの嘲笑を受け取らずに続けます。
「ベアーサーカー! この神聖なリングで、ただ感情の炎に燃えるがままなど冒涜ともいえる! 目を覚ませ!」
「ベアーーーッ!」
「ギャララ~無駄だと言っておるーーーっ!」
フェリキアヌスの言葉もむなしく、ベアーサーカーは唾をまき散らしながら一心不乱に殴りつけてきます!
万事休すと思われたフェリキアヌスですが!
「ここだ! ソリャーーーッ!」
殴るのに夢中で体が浮いたベアーサーカーの脇に足を入れて、ぐるんと態勢をひっくり返しました!
すばやくベアーサーカーの背中に乗り、
『あーっと、フェリキアヌスのサソリ固めだーーーっ!』
「ベ、ベア~~~ッ!」
「クッ……なんというパワーだ!」
バヂンッ!
『しかしベアーサーカー、サソリ固めを純粋なパワーで弾き飛ばしたーーー!』
「グアッ……!?」
『ベアーサーカー、フェリキアヌスをコーナーポストへ投げたーーーっ!』
「ベアークラッシュッ!」
「ぐわ~~~っ!」
『四足歩行の爆速から繰り出すショルダータックルーーーッ!』
『こ、これは危険極まりない技だーーー! ベアーサーカー、フェリキアヌスをタックルで鉄柱に叩きつけたーーーっ!』
ズギャーーーンッ!
鉄柱が折れ曲がる威力に、さしものフェリキアヌスも崩れ落ちます。
「兄者! 兄者ーーーっ!」
「ベア~」
フェリキアヌスの惨状に、ベアーサーカーが踵を返そうとした時です。
「まだ……終わっておらぬぞ……」
「兄者!」
息も絶え絶え、フェリキアヌスが立ち上がりました。
「ベアーサーカーよ……この程度か……野性を開放したらしいが、わしに言わせればおまえは弱くなっている……」
獣の本能に塗りつぶされたはずの理性が、ベアーサーカーの瞳によぎった気がしました。
「凶暴化したおまえのパワーとスピードは確かに脅威的だ! しかしむしろ獣人レスラーとしてテクニックもタクティクスもなくし……そこには尊厳すらなくなった!」
「ぐるるぅ……」
「わしはそんな獣人レスラーを恐ろしいと感じぬ! そして畏れも抱かぬーーーっ!」
「ベアーーーッ!」
コーナーポストに追い詰められたフェリキアヌスへと、再びベアーサーカーが爪の連打を見舞います!
これを防御しながら、なおフェリキアヌスはなお言葉を投げかけ続けます。
「ベアーサーカーよ、目を覚ますのだ。そのような戦い方、そのような勝利……むなしいだけであるぞ! おまえが勝っても、わしが勝っても!」
「ベアーーーッ!」
「ギャララ~勝利するだと? 死にぞこないが笑わせよるわ~そこからどうやってベアーサーカーに勝つというのだ~~~!」
バーバリオンの嘲笑をものともせず、フェリキアヌスは死中に活を見い出だします!
「こう!」
ベアーサーカーの爪をかいくぐり、その背後に回りました!
「やるのだーーーっ!」
そして両足を内腿にひっかけ、ベアーサーカーの両腕をチキンウィングで絞り上げてしまったではありませんか!
『この関節技はーーーっ!』
「フェリキアヌス式パロスペシャル!」
「ベ、ベア~~~ッ!?」
完全に極まったパロスペシャルでがっちりと固められ、ベアーサーカーは脱出できずにもがき苦しみます!
「この技は別名アリ地獄ホールド! 力づくで外そうとすると、その力を吸収してさらに技の威力が増すよう計算されておるのだ!」
ぐいとチキンウィングを絞り上げれば、いっそうベアーサーカーの巨躯を制圧!
これにはベアーサーカーも悲鳴をこらえられません!
「ベア~~~~ッ!!?」
「ベアーサーカーよ! ただ力だけではならぬと知れ! 獣人レスラーとしての──」
フェリキアヌスがさらに腕を引き、その顔面をマットに叩きつけました!
「誇りでぶつかり合うのだーーーっ!」
ズガァンッ!!
『あーっと、フェリキアヌスのパロスペシャルがベアーサーカーをマットに沈めたーーーっ!』
技を解いたフェリキアヌスもまた呼吸を乱して片膝を突きます。
『ワ~ンッ! ツ~ッ! スリ~ッ!』
カウントがコロッセオに響く中、ベアーサーカーがゆっくりと顔を上げ、フェリキアヌスを睨みつけます。
「このジジイ……」
「ベ、ベアーサーカーおまえ……理性を取り戻したのか……?」
困惑するバーバリオンに、ベアーサーカー自身もはっと気づきます。
これまで狂戦士と化すと、我に返るのは戦いが終わってからでした。
それが戦いの最中に元に戻るなんて!
「目が覚めたか、ベアーサーカーよ」
ふらつきながら立ち上がったベアーサーカーを、迎えるようにフェリキアヌスが両手を広げます。
その惜しげのない親愛の情に、むしろベアーサーカーがひるみました!
「な、なんだっていうんだおまえは……! お、おれさまの狂戦士化を解きやがるなんて……どんな魔法を使いやがったーーー!」
「魔法ではない。そしてわしが解いたのでもない。解いたのはむしろおまえ自身である」
「お、おれさまだと?」
「そうだとも。わしは聖人レスラーとして、獣人レスラーのおまえに語り掛けた。誇りを込めてな。そしてわしの誇りにおまえの誇りが応えてくれた! それだけのことだ……」
「おれさまの、誇り?」
「そうとも。わしら聖人レスラーは誇りと誇りをぶつけあい、そして──」
フェリキアヌスが両手を掲げるように構えます。
「相手をリスペクトしあう関係を構築し合うものなのだ」
「リスペクト……」
「わしはおまえの剛力と、それを存分に活かすレスリングテクニックをすばらしいと思っている。それがただ狂猛さだけになっては戦う甲斐がない! わが好敵手ベアーサーカーが、むしろ弱くなってしまうなど我慢ができなかったのだ!」
ベアーサーカーは不思議な穏やかさでフェリキアヌスを見つめます。
己の半分ほどのサイズな老聖人レスラーは、茶目っ気をたたえて笑いました。
「おまえはわしに対して、やるではないか!と思ってくれぬか?」
ベアーサーカーがふっと、微笑んだ気がしました。
「おれさまもおまえを──」
「惑わされるなーーーっ!!!」
バーバリオンの怒声が、ベアーサーカーの言葉を遮りました。
「われらワイルドパワーズに、敵をリスペクトする精神など不要ーーーっ! 必要なのは敵の血! 悲鳴! 闘争本能こそが我らたらしめる唯一のマインドであろうーーーっ!」
「そ、そうだったな……その通りだーーーっ!」
「おまえの迷い、このツープラトンで断ち切るのだーーーっ!」
タックルに走るベアーサーカーを追って、バーバリオンもリングイン!
「そうはさせるかーーーっ!」
プリムスも飛び込んできますが、
「そうしてやるわーーーっ!」
飛び込んできたプリムスをバーバリオンがキャッチ!
ベアーサーカーもフェリキアヌスをキャッチ!
ふたりそろって、セイントブラザーズを上空へと放り投げてしまいました!
『あーっと! バーバリオンが天空でひっくり返った状態のセイントブラザーズのそれぞれの足を、自らの片足ずつ使って4の字にロック!』
『そしてベアーサーカーがプリムスとフェリキアヌスの頭部を片手ずつで掴んだーーーっ!』
「ギャララーーーッ! くらえーーー! これこそがワイルドパワーズ最強のツープラトン!」
そして落下速度は加速の一途を辿り、
「「ワイルドワイルド・ダモクレス!」」
セイントブラザーズの頭部がリングへと叩きつけられてしまいました!
ドギャァァァンッ!!!
『これはなんということだーーー!? バーバリオンが足をロックし体重をかけて、』
『そしてベアーサーカーが、セイントブラザーズそれぞれにワンハンド・ブレーンバスターを仕掛ける大技!』
『これはセイントブラザーズ立てないかーーーつ!?』
『ワ~ンッ! ツ~ッ! スリ~ッ!』
この必殺技には、さしものプリムスとフェリキアヌスいえども立ち上がれ……
「ば、馬鹿な!?」
カウントの途中、なんとよろめきながらも、ふたりで支え合いながらセイントブラザーズが立ち上がったではありませんか!
このガッツには、一万二千人以上の観客たちも沸きに沸きました!
「な、何故だ……何故ワイルドワイルド・ダモクレスを受けてどうして立ち上がれるのだーーーっ!」
取り乱すベアーサーカーに、フェリキアヌスが震える指をつきつけます。
「おまえのセットアップが少し乱れていた」
「……ベアーサーカー、本当はおまえも兄者のことを認めているのではないのか?」
プリムスの指摘に、ベアーサーカーがはっとなります。
「そのリスペクト精神と、獣の本能がせめぎ合い技に隙ができて──」
「だ、黙れーーーっ!」
しゃにむにベアーサーカーが攻めてきますが、フェリキアヌスは両腕を立ててガードに徹します!
「このーーー!」
鉄槌のようなパンチを受け止めて、
「ソリャーーーッ!」
『フェリキアヌスの一本背負いーーー!』
ドガンッ!
超重量級のベアーサーカーを投げ飛ばしました!
「ぐ、この……」
「どけ、ベアーサーカー!」
そんなベアーサーカーを無理やり引っ張り上げ、強引にタッチをしてバーバリオンがリングインです。
「バーバリオン、待て。おれさまはまだ……」
「黙れ」
手を伸ばすベアーサーカーを、バーバリオンは冷たくあしらいます。
「おまえはどうやらあのふたりに感化され始めているようだ」
「ち、違う」
「今のおまえは信頼性に欠ける。しばらく吾輩ひとりでやらせてもらうーーー!」
そんな光景を厳しいまなざしで見つめながら、フェリキアヌスもプリムスとタッチします。
「兄者!」
「うむ!」
『さぁ再びプリムスとバーバリオンがリングで対峙します!』
「オリャーーーッ!」
『プリムスが果敢にタックルにいったーー!』
「ギャラーーー!」
『しかしバーバリオンがビッグブーツで迎撃ーーーっ!』
『そしてのけぞったプリムスへと噛みついたーーー!』
「ぐああーーー!」
「ライオンファング・スープレックスーーーッ!」
なんとバーバリオンは、噛みつきをクラッチとしてプリムスへとスープレックスで叩きつけたではありませんか!
「ぐああ!」
いっそう牙が深く食い込み、脳天に走る衝撃と合わせて特級のダメージです!
さらにもう一発、バーバリオンがプリムスに攻撃を加えようとした時、
「クッ、これ以上は兄弟をやらせんぞーーー!」
『フェリキアヌスがフライングクロスチョップでカットに入るーーー!』
「ギャラ~~!」
バーバリオンが大きくよろめき、プリムスもその牙から脱出します!
「すまぬ兄者!」
「なぁに、もうひと踏ん張りだぞ弟よ」
プリムスを助け起こすフェリキアヌスが、穏やかに弟を励まします。
「老いぼれーーー! おまえもズタズタにしてやるぜーーー!」
『バーバリオンがフェリキアヌスにも嚙みついたーーー!』
「兄者ーーー!」
プリムスがカットに入りますが、
「ライオンファング・スイングーーー!!」
スミスミスミスミ!
なんとバーバリオンがフェリキアヌスに噛みついたまま回転!
フェリキアヌスを振り回して、プリムスへとぶつけます!
二度、三度の回転を経てフェリキアヌスをリリース!
セイントブラザーズが折り重なって倒れてしまいました!
リング上はおびただしい血に染まってまるで地獄絵図です!
「バーバリオンよ、もう反省をした! おれさまもタッチを……」
「うるせーーー! もっと、もっと血だ! 血が足りねぇーーー!」
「バ、バーバリオン?」
肩で息をするバーバリオンの鬼気迫る様子に、ベアーサーカーも困惑をしました。
「血だ、もっと血をよこせーーー!」
バーバリオンが興奮したままにセイントブラザーズへと駆けだします!
「兄者!」
「おうとも!」
プリムスとフェリキアヌスが散開!
一瞬だけ、ほんの一瞬だけバーバリオンがどちらへ狙いを定めるか迷ったその隙に!
「オリャーーーッ!」
「ソリャーーーッ!」
セイントブラザーズが左右からバーバリオンの腕を掴んでロープへと放ります!
『あーっと! バーバリオンがリバウンドして!』
『セイントブラザーズがダブルドロップキックを──』
しかしなんということでしょう!
「バーバリオン!」
ベアーサーカーがカットに入り、ドロップキックをひとりで受け止めてしまったではありませんか!
「ぐふぅ!」
たまらずベアーサーカーが仰向けにどうと倒れました。
しかしそんなパートナーを、
「きさまーーー! 何を勝手にしやがるーーー! おまえのダメージを考慮すれば、今のはおれが捌くべきだったはずだーーー! そんな計算もできなくなったというのかーーー!」
頭部を掴んで引き起こしながらの激昂です!
「やはりきさま……あのふたりに影響されているであろう! 思い出せ、ワイルドパワーズの野性を! 本当に必要なものはリスペクトではないはずだーーー!」
「……バーバリオンよ、本当にそうか?」
ベアーサーカーもその手を払いのけ、その瞳に静かな想いをたたえます。
「なに?」
「時代は進んでいる。我らの野性を、そしてローマ帝国の外に在った宗派たちを……総て棄てるべきではないと思うが、しかし産声を上げて間もない新たなる光もまた、無視し続けるのもまた自然ではないのではないか?」
「ケッ、そんな論争を今している暇があるか!」
バーバリオンが吐き捨てる言葉に、ベアーサーカーも頷きます。
「そうだ。今は……あのふたりを倒すことを考えるべきであろう。おれさまたち最強の、あの技で!」
「……チィッ!」
まずはベアーサーカーが駆けだします。
それに不服そうにバーバリオンも続きました。
『あーっと! ベアーサーカーがセイントブラザーズを放り投げたーーー!』
『このセットアップはワイルドワイルド・ダモクレスだーーー!』
空でさかさまになったセイントブラザーズの足へ、バーバリオンが足を差し込もうとしたその時、
「今だ弟よーーー!」
「おう兄者ーーー!」
ふたりがバーバリオンの足と、ベアーサーカーの伸ばす手を払ってセットアップから逃れました!
やはりワイルドパワーズの呼吸が微妙にズレており、その隙を完璧に見抜いた脱出です!
「ここだ! 行くぞ兄者ーーー!」
「ああ、我らが尽くせる死力を今ここでーーー!」
天空で身をひるがえし、セイントブラザーズがワイルドパワーズをキャッチ!
プリムスがバーバリオンを!
フェリキアヌスがベアーサーカーを!
「「うおおお!!」」
セイントブラザーズの聖人パワーが全開となり、バーバリオンとベアーサーカーをそれぞれ技に取り込んでいきました!
プリムスがイスラエル・バスターに!
そしてフェリキアヌスがイスラエル・ドライバーに!
セットアップを完了させたーーー!
「ぬぐ、ぐぬあああーーー! 何故だ、何故抜け出せねぇーーー!」
「な、なんだこのパワーはーーー!?」
「「これぞセイントブラザーズ最高のツープラトン!」」
そして今!
イスラエル・ドライバーへと、イスラエル・バスターが合体したではありませんかーーー!!
「「セイント・ドッキングーーーーーッッ!!」」
ドガァァァンッ!!!
「ギャ、ギャラ~~~……」
「ベ、ベア~~~……」
リングを粉砕されんばかりの衝撃が、空気を伝わり波紋のようにコロッセオに広がり観客たちの頬を叩きました。
会場のすべてが、その瞬間に息をのむほどの迫力!
自然と技が解けて、ワイルドパワーズがリングに倒れ伏します。
『カ、カウントを……』
『いや、その必要もかなろう』
ワイルドパワーズは完全に意識を失い、ぴくりとも動きません。
ここにセイントブラザーズとワイルドパワーズの死闘に決着がついたのです!
「……見事だ……」
「ベアーサーカー!」
意識こそ戻りましたが、未だに起き上がることもままならぬベアーサーカーを、フェリキアヌスが助け起こします。
「野性では、知性の光には叶わぬということか……ガハッ!」
「しゃべるな、ベアーサーカー! 今は休むのだ……!」
「フェリキアヌスよ……おまえたちは、強かった……」
「おまえもだ、ベアーサーカー。今日ついた結着は、野性と理性の一言で片づけられるものではない」
「なに?」
「ただ想い合う心こそがおまえたちに足りなかった!」
「リスペクトする……心!」
「そうだ! そして、」
フェリキアヌスがベアーサーカーの手を、がっしりと握ります。
「今日、おまえはわしの言葉に耳を傾けて敵同士でも通じ合えたと信じている。それが……きっと次につながる」
「フェリキアヌスよ!」
「ベアーサーカー!」
固く抱擁するふたりのとなりで、プリムスもまたバーバリオンの隣で片膝を突いていました。
「目覚めているなバーバリオン」
「……勝者が敗者にかけることばなど、ないはずだ」
「そうだな。だが、友にかける言葉はあるはずだ」
「友だと……?」
「すごい力と技だった。おまえを……おまえたちを、尊敬する」
「チィッ……! だまれ、この……」
「だがもちろん勝敗はついた。そしておまえもきっとこのままでは気がすむまい? ならば……」
ふっと、プリムスが優しい日差しのように微笑みました。
「また、試合おうではないか! 好敵手(とも)よ!」
バーバリオンがそのまばゆさから目を逸らすように、ぷいと顔をそむけてしまいました。
つい。
好敵手と呼んでくれたプリムスの言葉を心地よく感じてしまったからです。
こうして二頭の獅子と熊は、聖人たちの前でおとなしくなってしまいました。
この奇跡のような光景に、一万二千人以上の観客たちの中から五百人が教会の信者となったのでした。
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