17 スフィアは〇〇だと知ったにゃん(前編)

「なぜだ!なぜ奴らの足取り一つも掴めないのだ!」


ドーラ大佐は怒りで机を叩いた。


「落ち着いてください、ドーラ大佐。」


「これが落ち着いていられるか!

 奴らが逃げて、もはや3時間、見つけ出した奴らの根城にしていた宿も隈なく探したが、もぬけの殻だった!まさか奴ら、もうこの街を…」


「それはないと思います、街の出入口には部下達を配置してありますから、そう簡単には突破は出来はしないでしょう。」


「そっそれもそうだったな、すまなかった。つい取り乱出して。」


「いえ、気にしないでください。」


「一旦、頭を冷やしに外で一服してくるとしよう、それまで、連絡待ちを頼む。」


「わかりました。」


ドーラ大佐がテントから出ると、エルナ少尉は机に置いてあった、スフィアの似顔絵を手に取って、顔を赤らめながら呟いた。


「やっと会えましたね…スフィア様、あなた様に会えるのをどれだけ待ちわびたか…」


そして次にニーナの似顔絵を手に取った。


「私の想いの邪魔するというのなら、容赦はしない…」


一方その頃、ニーナ達は無事にレイアの店に着いていた。


「なるほどな、事情はわかった、いいぞ、匿ってやる。」


「ありがとうございます。レイアさん。」


「つうか、久しぶりだな、スフィア。相変わらず小さくて可愛い。」


「可愛いは嬉しいですけど、小さいは余計ですよ。」


「でも本当にいいのかにゃん…?

 私達が追われてる理由を聞かなくて…?」


「そうだよね…?」


「そんなもん聞く必要あるかよ?」


「私達、追われてるんだよ…?

 悪いやつかもしれないって思わないの…?」


「お前ら二人は絶対にわるい奴じゃないって、私は信じてる。ただそれだけのことさ。」


「レイアさん…」

「レイアさん…」


「ふっふ、柄にもないこと言っちゃって。」


「お前、可愛いんだけど、そういう生意気なこと言うからうぜぇんだよな。」


「大きなお世話ですよ〜だ。」


「ほらな?」


「初めて見た気がするにゃん、アンナちゃんの子供っぽい態度…?」


「そっそんなことないですよ!時々してますから!」


アンナは顔を真っ赤にした。


「あはは、何を今さら恥ずかしがってんだよ?」


「うっうるさいです!」


「二人って仲が良いにゃんね。」


「まぁな。私にとってはもう一人の妹みたいなもんだ。」


「妹なんだ…」


「んっ?なんか言ったか?」


「なっ何でもないです…」


(もしかして、アンナちゃんは私と同じように…)


すると店の扉が勢いよく開いた。


「だっ誰!」


「スフィアを隠せ!」


「やっぱり二人共、ここに居たんですね…」


入ってきたのはサリーだった。


「なんだ、サリーか、驚かせるなよ。」


「サリーちゃん、あのね!」


「私達をずっと騙してたんですね…」


「えっ…?」


「サリー?」


「サリーちゃん?」


「スフィアさん…今からあなたを拘束します…」


「えっ!?」


サリーは短刀を握り、構えた。


「大人しく従ってください、抵抗する場合は容赦はしないです…」


「スフィア!」


「そっそんな…サリーさん…」


「おい、冗談だよな…?サリー?」


「・・・・・・」


「応えろよ、サリー!!」


「サリーちゃん!」


「私は本気です…」


「サリー、おまえ…」


「どっどうして…」


「だって仕方ないじゃない…」


「サリーさん、泣いてる…?」


「ごめんねスフィアちゃん…

 私だって、こんなことしたくないよ…?

 出来れば…あなたと戦いたくない…でもね…」


「でも、なんだにゃん…?」


「スフィアちゃん…帽子取ってもらえるかな…?」


「帽子を…?」


「お願い…」


「・・・・・わかった…」


「スフィアさん!」


「スフィア、いいのかにゃん…?」


「うん…」


スフィアは帽子を取った。


「スフィア、おまえ頭に角があったのか…それでいつも帽子を…」


「そうなの…私のこと怪物だと思った…?」


「いや、全然、いつも通り可愛いまんまだ。」


「レイアお姉さん…」


「レイアさん…」


「スフィアちゃん…あなたって【魔の国】から来た、【魔族】なんだよね?」


「魔の国から来た魔族…?」


「魔族って…何にゃん…?」


サリーの口から聞かされた聞き慣れない言葉に

ニーナとスフィアはただ戸惑っていたのだった。


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