16 かけがえのない家族にゃん
「ハァハァ…」
「ニーナお姉さん…すごい汗かいてる…」
「心配しないで、だいじょうぶだにゃん…」
「でっでも…」
「はっ!スフィア静かに!」
ニーナは誰かが近づいてくる気配に気づいて、とっさにスフィアの口を手で塞いだ。
「おい、いたか!」
「いや、こっちにはいなかったぞ!」
「俺の方もいなかった!」
「どうやらこの辺にはいないようだな、別の場所を探そう!」
ドーラ大佐の部下達は細い路地裏に隠れるニーナ達に気づくこともなく、その場から立ち去って行った。
「よかった…気づかれずにすんだみたいにゃん…」
「やっぱりだめだよ…」
「にゃ…?どうしたのにゃん…?」
「ニーナお姉さん…私を今すぐ、さっきの怖い人達に引き渡して…?」
「にゃにゃ!?いきなり何を言うにゃん!?
そんなこと絶対にするはずないにゃん!」
「このままじゃ、私だけじゃなくて…ニーナお姉さんまで、追われる身になっちゃうじゃない…だから…」
「なんだ、そんなこと気にしてたにゃか。」
「えっ…?」
スフィアの涙を拭って、ニーナは言った。
「あんな奴らにスフィアを引き渡すぐらいなら、追われる身になる方がずっとマシにゃん。」
「そっそんな、ニーナお姉さんはいいの?
命を狙わるかもしれないんだよ?」
「平気にゃん。」
「きっとこの街にだって…居られなくなっちゃうよ…?それでもいいの…?」
「確かにこの街で仲良くなれたアンナちゃんやサリーちゃんやレイアさん、冒険者ギルドの受付のおねえさん達と離れるのは寂しいことだと思うにゃん…」
「ねっ…?そうでしょ…?だったら…」
「でもにゃ、今の私にとって、スフィアと離れることはそれ以上に辛くて、耐えられないことなのにゃん…」
ニーナは今にも泣きそうになっていた。
「ニーナお姉さん…」
「私にそんな辛い思いをもうさせないでほしいのにゃん…
スフィアはもう私にとってかけがえのない家族にゃん…」
「うぐっうぐっ…私だって、離れたくないよ…
ごめんね、ニーナお姉さん…もうそんなこと言わない…」
スフィアは強く抱きついて、止めどなく涙を流した。
「わかってくれたならいいにゃん…」
「ニーナお姉さん…」
この時、ニーナが言った言葉は前世で猫だった頃に、ご主人様だったサラに言われた言葉であった。
"ニーナはかけがえのない家族だよ。"
「私、ニーナお姉さんのこと、本当に大好きだな…」
「私だって、大好きだにゃん。」
「ありがとう…」
(きっとニーナお姉さんの言う"好き"と
私の"好き"は違う意味なんだろうな…
でもいいんだ、それでも…)
すると後ろから誰かが近づいてくる足音がした。
「怖いっ…」
「誰にゃ!」
「しっ〜!二人とも大声出したら駄目ですよ!
討伐隊の皆さんに見つかっちゃいます!」
「あっアンナちゃん…?」
「どうしてここに…?」
「さっきうちの宿に慌てて、冒険者ギルドの受付のお姉さんが来て、お二人が討伐隊に追われてるって、教えに来てくれたんです。
それを聞いて、いてもたってもいられなくて、探してたら、偶然、見つけられたわけです。」
「そうだったんだのかにゃ…」
「心配してくれて…ありがとう…アンナちゃん…」
「えへへ…でも安心するのはまだ早いです。すぐに移動しましょう、ここも見つかるのは時間の問題ですから。」
「その通りだとは思うにゃん…でも宿に戻るのはきっと…」
「はい、今頃、私の宿に討伐隊の皆さんが来ていると思われるので、宿に戻ることはしないほうがいいと思います。」
「じゃあどこに身を隠せばいいのかにゃん…?」
「ちょうどここからなら、レイアさんのお店が近いですよね。レイアさんのお店に避難させてもらいましょう。きっと匿ってくれますよ。」
「確かにそれがよさそうだにゃん。」
「でっでもレイアさんまで巻き込む事になるよ…?」
「レイアさんはあの性格だから、上等だとか言ってくれますよ。」
「確かに…」
「それじゃあ、討伐隊の皆さんに見つからないように、この町に暮らしてる人しか知らない抜け道を案内するので、着いてきてください。」
「行くにゃん、スフィア。」
「うっうん。」
私達はアンナちゃんに着いて行って
レイアさんの服屋に向かう事にしたにゃん!
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