PVの謎
第16話 そこは頑張れよ
「……なんで俺が解決する事件は、ここまでヘンテコなものばっかりなんだろうな」キノコとか幽霊とか力士……いや、力士はいなかった。「もっと本格派の推理がしたいのに……」
「本格推理は作者が書けないので無理ッス」
「そこは頑張れよ」
あと俺はメタ発言が嫌いだ。
「一応、頑張ったことはあるッス。とあるミステリーの賞に応募するために書いた作品があるッス。『黒猫先輩とオンライン会議殺人事件』ってやつッス」
「カクヨムで公開されてるやつだな」
「そうッス。一応真面目に推理をしようと思って書いたのに、自分でも『いや無理がある』ってなった作品ッス。あれ以降、まともなミステリーを書くことは諦めたッス」
頑張れよ。諦めんなよ。そしてまともなミステリーを書くことを諦めたとはいえ、こんな意味不明な話を書くなよ。
「ミステリーと言えば……少し気になっていることがあるッス」
「なんだ?」
「大抵の投稿した作品って、完結したらPVは伸びないッス。書籍化した作品とかなら別ッスけど、この作者は書籍化なんてしてないッス」
「そうだな」
「それなのになぜか……『人生の攻略本を拾いました~彼女の行動がギャルゲー感覚で予測できるので、簡単にハーレム……とおもいきや誰かが死んでしまうらしい~』って作品だけ、未だにPVがそこそこつくッス。もちろんリアルタイムで投稿していたときよりは減ってるッスけど……気がつけば40000PVを突破していたッス。感謝感謝ッス」
……そういう感謝って近況ノートでするもんじゃねぇかな……なんでこんな訳の分からない作品でやるんだ?
「なんで『人生の攻略本』だけPVが順調に伸び続けるんでしょう。たまに考えるんですけど……難問過ぎて解けないッス」
「それが解決できたら、もっとPV稼いでるだろ」その分析ができないからPVが伸びないんだよ。「んで……その『人生の攻略本』ってのは、いつ頃投稿された作品なんだ?」
「第1話が2022年7月17日ッス。完結したのが2022年の10月3日ッス」
「つまり完結してから、だいたい1年が経過するわけだ」
なのに、今でもそこそこのPVがある。
「代表作に設定しているとかじゃないのか? たしかカクヨムではユーザーページに代表作が設定できるだろう?」
「はいッス。ですが、この作者の代表作は違う作品ッス。途中までは『人生の攻略本』だったッスけど……途中で切り替わったッス」
代表作の設定は手動設定と自動設定がある。自動設定にしていたから、他の作品に切り替わったわけだ。
「じゃあ、今の代表作のPVは伸びてるのか?」
「他の作品よりは伸びてるッス。でも『攻略本』よりは伸びてないッス。ちなみに今の代表作は『世界を救うと言われる伝説の勇者に転生したら美少女たちに求婚され、ハーレム状態になりました。それでは聞いてください。『人違い』』って作品ッス。長いので……それぞれ『攻略本』と『人違い』と略すッス」
それから弟子は顔を赤くして、
「昔に考えたタイトルを冷静になってからコピペするの、恥ずかしいッス」
「1つ成長したな」作者は自分の作品が恥ずかしくて読み返せないタイプだ。だから成長しないのだが。「ともあれ……PVの謎か……」
これも立派な謎の1つだ。ミステリーというのかは不明だが……まぁいいだろう。
ちょっとだけ、真剣に考えてみるか。
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