メッセージ

『怪我の調子はどうですか?』

『怪我はシズクの異能で完治してるから大丈夫、数日安静にしたらダンジョンに潜れる』

『それは良かったです』

『心配を掛けたね』

『私もレイさんみたいに成れるように頑張ります』

『無理はしないようにね』

『はい! 無理をしないように気をつけて戦います』


メッセージのやり取りを終える

平日のため恋歌は学校に行っている

学校帰りにダンジョンに潜って訓練していると言う

鈴音とシズクの2人はダンジョンに潜って連携の訓練をしているらしい


「暇」

「先程までやっていた物は?」

「クリアした。対人戦はチーター多いからやらん」

「チーター?」

「ゲームは体力とかそういう基本パラメーターは平等なんだけどその平等を崩して自分が優位になる状況を作る狡い奴?」

「成程、自力では勝てない人間か」

「話によるとかなり金かけてたりするらしい」

「成程よくわからんな。戦いとは自らの力でねじ伏せるのが良いだろうに」

「だねぇ」


別のゲームをやって時間を潰す

夜になり眠りにつく

翌日、朝早くに体の調子を確認する


「どうだ?」

「充分動けそう」


家で筋トレをする

流石にまだダンジョンに潜らない方が良いだろう

身体を適度に動かして様子を見る

家の近くを全力で爆走する

綺麗なフォームで歩道を駆け抜ける

朝早い為まだ人が少ない、元気な老人の散歩か日課の走り込みをしている人くらいな物


「おや、今澪ちゃんが通り過ぎたのぉ」


老夫婦はかなりの速度で走る澪を見つける


「おやおや、澪ちゃん元気ねぇ」

「わしらの若い頃を思い出すなぁ。毎日ああやって走った物だ」


老夫婦は昔を思い出している


「そうだねぇ、元気なのは良い事じゃなぁ」

「最近の若者は鈍っていると思ったんじゃがそうでも無いのぉ」

「ですねぇ」


老夫婦は会話をしながらゆっくりと家に帰っていく


「今誰かとすれ違ったな。気の所為か?」

「2人ほど老人が居たぞ」

「あぁ、いつも散歩してる人達かな。人居るならぶつからないように気をつけないとなぁ」

「ぶつかっても走りさればいい」

「いやそれは普通にアウト」

「バレなければ問題なかろう」

「普通に近所でそんな事したらすぐバレるわ」


何周か走った後、家に戻る


「流石に全力で何周も走れば疲れるな」


澪は珍しく汗をかいて息を切らしている

ここまで疲れるまで走ったのは久しぶり


「貴様体力おかしいな」

「そう?」

「貴様の体で戦った時にも感じたがあれだけ走り回りながら戦い続けて平然としているのはおかしい。魔物でもそれは難しい」

「へぇ、兄ちゃんの方が体力有るから特に思ったこと無かったな。あぁでも学生時代無尽蔵の体力狡いとか言われた事あったな」


澪は身体能力は兄弟3人の中では一番低い、それでこの体力と身体能力を持つ

長男が断トツで体力も身体能力も高い

2人とも探索者になれば宿る異能にもよるが澪相当かそれ以上の探索者になれる逸材


「貴様ら怪物の血筋か」

「失礼な、ちゃんとれっきとした人間だよ」

「普通の人間が分からんが少なくとも普通では無いだろ」

「まぁ平均よりは高いと思うよ。それでもそんな飛び抜けてるかなぁ? そんな事は無いと思うが」


この兄弟がおかしいだけで両親はアスリートだった訳でも無く普通であった

異常な身体能力を持つ兄弟に両親は少し引いていた

この兄弟、別に特にこれと言って鍛えていた訳でもない


「今思えば身体能力もおかしい。数分叩き続けただけで鱗を砕けるだけの身体能力を異能無しでと言うのは」

「そうか? かなり硬かったぞ?」


身体能力を上げる異能を持たずして3級ダンジョンを悠々と周回するだけの無尽蔵な体力

連日強い魔物と戦ってようやく疲れが見えるレベル

そもそもバルフェリアとの戦いでも異能で移動したバルフェリアの攻撃を回避出来る反応速度を見せていた


「そのくらい強い方がダンジョン攻略が楽だから有難い」

「武器集め〜」

「あぁ武器集めだ、それに魔導具や防具も出る可能性がある大量に集める」

「便利な魔導具は欲しい。あっ、防具壊れたんだったまた買わないと……」


今になって思い出す

防具はドラゴンの一撃で物の見事に砕かれていた

あの防具も掘り出し物で性能が高い防具

(あれも結構高かったんだけどなぁ。短期間に防具2個損傷ってやばくね)


「前に使っていた防具はどうした?」

「あれはお前にボロボロにされたんだけど……150万……まぁ私の金ではないんだけども普通にショック」

「覇王化の後か、我の攻撃に防御は無意味だからな」

「チート過ぎるんだよなぁ。それに対抗出来るあのドラゴンもだけど」

「刀が無ければ我が負けていた」

「バルフェリアよりあのドラゴンの方が強いの?」

「覇王に至った状態の元の姿で戦えばどちらが勝ったか分からんな。刀なしで貴様の体で戦っていれば最後の重力で負けていた」

「圧倒したように見えたけど実は紙一重って訳か。最初から使っていれば勝てたんじゃない?」

「そんな甘くは無い、あそこまで追い込んだからこそ効いたのだ。むしろあそこまで追い込む前に使い破られれば対策されていただろう」

「なるほどぉ」


バルフェリアもドラゴン型の魔物も人間並みの知能があった

同じ手は二度も食わないだろう

あのタイミングでの使用だったからこその勝利、バルフェリアの方が1枚上手だったのだ

数日の休憩の後身体の調子が戻った事を確認して防具を買いに取引所へ行く

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