覇王
何処からか声がした
観戦組にも聞こえた
男性の声だ
だがドローンにはその声の主の姿は映っていない
『誰かいる?』
『居るのだとしても……ドローンには誰も映っていないのですが』
『この声には特に聞き覚えはありません。偶然同じダンジョンに来ていた探索者ですかね?』
『零さんがもし遭遇してたとしたら動画撮らないと思いますが……』
魔物はこの声の主を知っている
澪の方を見る
血溜まりは残っているが澪の姿は残っていない
「故に我が引き継ぐ」
澪の声、だが口調と声音が違う
声のする方へ魔物とドローンが向く
黒を基調とした赤のラインの入った服を着ている澪が立っていた
『レイさん……?』
『あれがレイ殿? いや確かにレイ殿か。いやしかしなんだこの姿は』
『服装も髪型も髪色も何もかも違う』
『腕が治ってる……どうなって』
『2つ目の異能?』
両断された腕がくっ付いている
赤と黒の長い髪、黒い両手
手には刀を持っている
「そう驚くな。おかしいな事は起きておらん」
澪?は魔物に話しかける
「傷は癒えたのでは無い、凍らせたのだ」
刀の能力で傷を凍らせ腕を無理やりくっ付けているだけで傷は残っている
「この状態であれば治癒系の異能の力さえあれば死なぬ。この見た目か? くかか、覇王らしいだろ? 我に相応しい」
傍からは独り言を話しているように見える
バルフェリアが言っていた一手、バルフェリアが体の主導権を持つ事
それによって一時的に澪の異能は覇王へ至った
「何最上位の連中と一度死合いたかったのだよ。往くぞ」
刀を向ける
魔物は口を開けブレスを放つ
タメの無い炎のブレス、威力も範囲も低いが人1人を焼き尽くすには充分過ぎる威力だ
「異能でもない一撃なぞ温い」
刀を振るう
炎のブレスが刀に触れた瞬間切り裂かれていく
『炎のブレスを切り裂いた!?』
『あれはレイさんですか……?』
『別の何者の可能性も捨て切れない。変わる前に誰か男性の声がしました。姿が見えなかったがその存在がレイ殿に乗り移ってる可能性がありますね』
『有り得ないとは言えませんね』
「こちらの番だ」
目の前に移動して刀を振るう
魔物は攻撃を避ける
「これならどうだ?」
直ぐに足元へ移動して一振り、頑丈な鱗を容易く切り裂き肉も切る
魔物は足元目掛けて炎のブレスを放つ
炎のブレスを切り裂く、魔物は間髪入れずに前足で蹴る
瞬間移動で蹴りを回避する
「おっと、危ない」
直ぐに捕捉して炎のブレスを放ち足元の瓦礫を蹴り飛ばす
炎のブレスを切り裂くと同時に瓦礫が襲いかかってくる
瓦礫を素早く切り落とす
「くかか、良いなぁ」
瞬間移動して刀を振るう
魔物は攻撃を回避して足で地面を強く叩く
部屋中が大きく揺れる
空気すら揺れ空中に居たバルフェリアは体勢を崩す
巨大な身体で突進する
異能が使えず直撃する
「がっ……くかか、良いぞ良いぞ」
勢いのまま吹き飛ぶが地面に刀を突き刺して勢いを無理やり止める
血を吐く
炎のブレスが放たれるが異能で回避をする
ブレスではなく炎の玉を連続で放つ
避けず敢えて刀で炎の玉を全て両断する
瞬間移動して切りかかる
魔物は攻撃を躱して翼を動かして風を起こす
吹き荒れる風でバルフェリアは風に押し返され礫で目を開けられなくなる
瓦礫が巻き上げられ砕かれ細かくなった礫がバルフェリアの体に当たる
「目が開けられん」
風を起こしながら炎のブレスを放つ
炎のブレスが風の勢いに乗せられる
異能で反対側の部屋の壁沿いに移動する
「ほう、考えたな。だがまだ異能を使わぬか」
瞬間移動して翼に刀を振るう
反応が遅れ切られる
切れたのは巨大な翼の一部に過ぎない
すぐに振り向き炎のブレスを放とうとするがもう居ない
背中に乗り鱗を2回切り移動する
反応出来ないペースで瞬間移動し攻撃を加える
「どうした?」
足、背中、尻尾、首など次々と切り傷が出来て行く
魔物は吠える
そして異能を発動する
「来たか! 遅かったでは無いか」
バルフェリアは笑みを浮かべる
異能については互いに知っている
魔物の異能は重力を操る異能
魔物は周囲の瓦礫を浮かせて飛ばす
飛んでくる瓦礫を刀で全て切り裂く
『まさか異能!?』
『この魔物異能を今まで使ってなかったんですか。使わずあの強さ……』
『異能使った魔物相手ともやり合ってます。何者なんですかね?』
『異能による移動をかなり多用していますが配信ではあそこまでの多用は出来てませんでしたよね?』
『はい、何か距離の制限があるみたいな話はしていました。そういえば先程条件がわかったとか』
『恐らくですが移動した距離が関係します。例えば移動した距離と同距離までであれば移動が出来るなど、炎のブレスを避ける際にギリギリまで走っていた理由もそれなら納得出来ます』
『確かにそれなら零さんの行動にも頷けます』
瓦礫を切り終えて瞬間移動で接近して切り掛る
刀が見えない何かに防がれる
「……あぁなるほど圧縮して歪めたか」
空中にいるバルフェリアに普段の数倍の重力を付与する
「ぬおっ」
身体が重くなり落下が早くなる
地面にあたる直前で移動するがかかった重力はそのままかなり動きが制限される
一度体勢を崩すが直ぐに立ち上がり平気そうに笑う
「この程度か?」
放たれた炎のブレスを切り裂き瞬間移動して頭上に移動する
自身にかかる重力を利用して突っ込む
重力を圧縮し攻撃を防ぐ
空間すら歪む重力、上手く空間を切り裂けない
瞬間移動して首元を切る
「かかっ、反応し切れないか?」
圧縮した重力の玉を放つ
瞬間移動で回避しながら攻撃を仕掛ける
すぐに反応して重力で空間を歪め防御する
最上位魔物とバルフェリアは凄まじい戦闘を繰り広げる
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