塔型のダンジョン

4級ダンジョン、今までは下に進む洞窟型のダンジョンだったがここは上に進む塔型のダンジョンだ

他に探索者がいる

視線が集まる


「あれシズクじゃん、なんで4級に?」

「レイさんも居るぞ。もう1人は……誰だ? 新メンバー?」

「知らないなぁ。配信にも出てないと思うし凄いガチガチになってる」

「ほんとだ可愛い」


恋歌はガチガチに緊張して動きが人の動きを真似した昔のロボットのような動きをしている

(大丈夫なのか?)

澪はそんな恋歌を心配そうに見る


「ダンジョンの主倒しに来たのか?」

「確かにここはまだ攻略されてないな。それに付近のダンジョンだとここくらいか?」

「もう1つのダンジョンは昨日攻略されたらしいしね」

「まじかよ」

「偶然居合わせた知人によるとレイさんだってさ。出てきた時は結構ボロボロでかなり苦戦してたんじゃないかって」

「連日攻略かよ……てか4級で苦戦するのに中ボス倒せるのか?」

「強いのは3級の中ボスに及ぶって言うしシズクちゃん無しだからバフも無かったしね」

「へぇそうなのか。あぁバフ無しならそうか……いやむしろ倒せる方がおかしいだろそれ」


探索者が何やら色々と喋っている

緊張してガチガチになっている恋歌は石に躓きすっ転ぶ


「痛い……」

「大丈夫か?」

「だ、大丈夫です!」


澪は手を差し伸べる

恋歌は手を取ってゆっくり立ち上がる


「あ、ありがとうございます……」

「緊張し過ぎだ。マジで大丈夫か?」

「ダンジョンに入れば探索者殆ど居ないと思いますから行きますよ〜」


恋歌の背中を押しながら進む

ダンジョンの中に入るとシズクの言う通り探索者の姿は無い

塔型のダンジョン、古びた塔と言う印象のあるダンジョン、壁や床、階段まで全て石造りで所々ヒビが入っている

入口の反対側には上に続く壁に沿った長い螺旋階段がありかなり高い位置に天井がある

恐らくその天井が次の階層だろう、次の階層付近で落下したら最悪死ぬだろう


「うわっ、手すりも無いのか。気を付けて進むぞ」


階段を登り始めようとした時に気づく

吹き抜け側に手すりが無く支えすら無かった

これではバランスを崩したらそのまま落ちてしまう


「ですね。階段で魔物が出てこなければいいんですが……」

「いや出てくるだろ」


3人は階段を進む

落下しないように気をつけながら壁沿いを歩く


「で、出てきました。魔物です」


3人の居る場所より上の階段に立ちはだかるように現れる

槍を持った太った魔物、その太った立派な肉体が幅を取っている

恋歌が素早く拳を合わせて異能を発動させて前に出る


「わ、私がやります!」

「足元には気を付けろよ」


階段という段差の多い場所、戦うには余りにも不安定

上に進もうにも魔物が上手く邪魔をしている、下に降りても追いかけてくる様子は無い

階段は3人が横並びで歩ける程度の大きさがあり1人で戦うなら気を付ければ落ちる事は無いだろう

ただ複数人で戦うには些か狭く感じる


「ダロィスィ」


シズクが異能を発動させる

itawaf

澪に優先的に張っていた速度上昇のバフでは無く力を上昇させるバフを張る

狭い場所で速度を上げるのは危険、上手く調整しないと壁に衝突する可能性もある

ましてや落下する可能性もあるこの場所では使えない


「今の能力は?」

「力を上昇させる能力です、ここは不安定なので速度は危ないと判断しました」

「あぁ確かにな。下手したら落ちそうだ。それに2人だとギリギリか?」

「そうですね。……階段と言い魔物と言い凄い嫌らしい配置ですね」

「大量の人数で来ても戦えるのは一緒に2人程度、攻撃系の異能を使えれば別だろうけど、このダンジョンを作った奴相当悪趣味な奴だな」


焔を操るなどと行った異能なら足場が狭くても動かずに攻撃が出来る

そう言った異能者ならむしろ逃げ場が少ないこの場所は適任だろう

(この場所だとむしろ邪魔になるか……いやそもそも足場を凍らせるのは行動の邪魔になるか)

所有者である澪単独であれば気にしないが足元地面を凍らせる能力は味方の行動も邪魔しかねない

味方の邪魔にならないように範囲や場所、タイミングを考えて使わないと行けない


「やぁぁぁ!」


恋歌が拳を振るう

問題なく一撃で仕留める

恋歌の戦闘スタイルなら狭くても問題は無い

鋼の肉体によって回避を取らなくて良い


「流石、それでは早めに抜けましょう。ここで時間かけてもですし」

「は、はい!」

「そうだな、速攻終わらせるぞ」


魔物を倒していく

様々な種類の魔物が現れる

(言ってた通り一種が続く訳じゃないのか)

澪は接近してから異能で背後に回り刀で首を斬り裂く

阻むように立っていようが空間移動系の異能者にとっては障害にはなり得ない

魔石を回収する

2人は交代交代で戦い順調に進んでいく

長い階段を進み次の階層が見えてくる

次の階層も一階層と同じように石の床が広がっていて反対側に螺旋階段がある

一階層と違うのは階段の前にも魔物が居ること

その数は七体、全部4級の魔物だ

階段の所に出てきた魔物も居るが空を飛んでいるコウモリ型の魔物が三体飛んでいた

シズクがバフを掛け直して2人が前に出る

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