ボッチとソロと配信者

「連携はどうします? 練習しようにも普通の3級の魔物程度なら貴女達2人だと作戦も無しに一撃で倒せますし」


3級の魔物中ボスでも無ければ連携するまでもなく倒せる

2人とも一撃で倒せる、連携しようにもわざわざ攻撃をせずにした所で戦わないならいざと言う時に使えず練習にもならない可能性はある


「そ、それならわ、私が攻撃を受けてる間に背後からレイさん前からは私が攻撃すれば」

「確かにそれはありだな、ミノタウロスの攻撃ですら傷1つつかない肉体、ただ避けられる攻撃まで受ける必要は無い。傷こそなくとも衝撃は蓄積するだろ」


衝撃を無力化してる訳では無い、あくまで自身の肉体強度の強化、傷1つ付かないような攻撃でも受け続ければいずれ大きなダメージとなるだろう

攻撃の手数が多い魔物相手だと致命傷になりかねない


「は、はい、か、回避も頑張ります」

「正直やり合えるのが……4級の中ボスでも行きますか?」

「近くにあるのか?」

「倒されてなければ零さんが行った所以外でも湧いてると思いますまぁ討伐済みのですが」

「弱体化してるんだったか? ダンジョンの主は?」

「確か討伐されていたと思いますが少し調べて見ますね」


スマホで素早く調べる

その間に2人は会話をする


「探索者歴はどのくらいになるんだ?」

「え、えっと……3年くらいです」

「そうなのか。長いな」

「れ、レイさんは?」

「私は……会社員辞めた後だから1年くらいだな」


シズクは3年半、恋歌より半年長い

澪は1年経ったかどうかくらいで3人の中では一番短い

探索者全体から見ても歴は短い部類、1年以内に3級ダンジョンで狩りをしている探索者は澪だけ、つまり探索者最速


「そ、そうなんですね。もっと長いかと思ってました」

「そうか? まぁ前から興味はあったがやる気は無かった」

「な、なら何故探索者にな、なったんですか?」

「仕事辞めて金が必要になったから、そして自分に異能がある事が分かって尚且つ適性があったから続けた」


条件の1つ戦闘中、普段は発動しない異能

その為ダンジョンに潜る前に異能は発動しなかったのだ

最初戦った時に自動的に異能が発動し異能の情報が流れてきた

異能を得ると発動の条件、能力、異能の名前などが分かる

自動的に条件が満たされるタイプの異能の場合はその条件を満たすと分かる


「た、探索者になってから異能がある事……にき、気付いたんですね」

「異能の発動の条件の1つが戦闘中でな。それまで戦ってはいなかったからな」

「な、なるほど、戦闘中限定の異能ですか」

「だから空間移動系と言ってもそこまで便利では無い、そもそも距離に制限あるしな」


戦闘中のみなので普段使いの出来ない異能、戦闘中は便利だが空間移動系の能力の強みの大半が使えない


「確認終わりましたよ〜何と倒してないようです」


調べ終えたシズクが2人に話しかけてくる

ダンジョンの主を討伐していないと言うのは良いニュースだが

(あいつみたいなのじゃねぇよな?)

空間移動の異能を持つライオン型の魔物、あの魔物のような魔物だったら全滅しかねない

ダンジョンの床すら切り裂く攻撃には恋歌の異能でも防ぎ切れないだろうしシズクのシールドも為す術が無い

(第二形態になった場合は逃げる)

澪は一抹の不安を抱えながらも3人でダンジョンへ向かう


「どうしました?」


タクシーでの移動中、澪は心配事があり悩み表情が険しくなっていた


「戦った主の事を思い出してな」

「空間移動系の異能を持ってたって言う」

「あぁ、もしあいつみたいな異能持ちだったら全滅しかねんと思ってな」

「早々空間移動系の異能を持ってる魔物は居ませんよ。それに話を聞いた限り最低でもその魔物3級の中ボス相当はあります。最悪3級のダンジョンの主クラスの強さと厄介さがあります。言ってしまえばイレギュラー、滅多に無いと思います」


普通の4級のダンジョンの主なら澪の異能と実力を考えれば単独でも苦戦こそしても負けかけるような事は殆ど無いだろう

それ程にイレギュラーだったのだ


「もし相手が空間移動系で無くても第二形態に移行したら撤退するぞ」

「了解です。その際はシールドで安全を確保します」

「し、殿を務めます!」

「いや、殿は私がやる。この刀の能力が通じるなら時間稼ぎ出来る」

「刀……いつの間に」

「ダンジョンの主を倒した時に宝箱から出てきた。周囲を凍らせる能力を持つ刀だ」

「そ、それは強そうですね」

「普通の4級の魔物なら問題なく凍らせてた」

「かなり強いですね。3級にも通じそうですね」

「斬れ味も良い、良い武器が手に入った、倒した甲斐があった」

「そうですか……レイさん問題が起きました」


シズクが真剣な面持ちになる

急に何事かと思い聞く


「問題?」

「刀を使ったら仮面の槍使いレイでは無くなります! 大問題です」

「……いや、別に槍も使うぞ?」


なんだそんな事かとため息を付く

刀を手に入れたからと言って槍を使わない訳ではない

状況次第で使い分ける予定

槍の長所は間合いの長さと長さを利用した重い一撃

刀の長所は斬れ味の高さから繰り出される斬撃、素早い手数の多い攻撃、そして凍らせる能力

両方を自在に操れたら強力な武器となる

ダンジョンに着くまで適当に雑談を交わす

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る