戦闘開始

魔物が先手を取る

片手を振り上げて澪の居る所へ叩き付ける


『やべぇ死んだんじゃねぇの!?』

『ひえぇ』

『あの巨体の一撃はきついぞー』

『シズクちゃん盾は!?』


走って回避していた澪は槍で手に攻撃をする


「はぁぁ!」


打撃を繰り出すが打撃は余り効果が無いようだ

続けて速度と力の上がった状態で一撃を繰り出す

深くは無いが傷が出来てそこから黒いモヤが流れ出る

(速度は大した事ないな。そんなに硬くもないしな)

槍を突き刺してから一度様子見の為に離れる

すぐに魔物は手で攻撃を仕掛けてくる

澪を掴もうと手を伸ばすが余裕で逃げられる


『うぉぉぉぉ!』

『動き早っ!? 何処行った!?』

『今、手の所』

『すげぇ!』


コメント欄は大盛り上がりを見せる

攻撃を躱して素早く腕に攻撃を仕掛ける

鬱陶しく思った魔物は手を払うように振るう

動き出しを確認してすぐに距離を取る

距離を取った澪に逆の手で攻撃を仕掛ける

(足狙うか)

避けつつ足元に移動して体勢を崩させる為に攻撃をする


『足の方に行った』

『見えないー』


配信画面が切り替わる


『あざーす』

『凄い切り裂いてる』

『滅多刺しじゃん』

『やっちゃえ!』


足に槍を刺したり斬ったりと攻撃をひたすら加える

魔物は勢いよくジャンプをして向きを変えて着地する

(足の攻撃は無いのか)

両手で澪を叩き潰すように攻撃を連続で仕掛ける

地面が削れて砂煙が舞い何も見えなくなる

何も見えない所にひたすら攻撃を加える


『凄い連撃』

『なんも見えん! 大丈夫なの!?』

『これは避けられないでしょ!』

『レイさん頑張って!』


「大丈夫、零さんはこの程度余裕で避けられる」


『この程度?』

『マジで言ってるの?』

『これ避けられるとかやばくね』


澪が空間移動系の異能者であることを知っているシズクはこの攻撃を避けられると確信している

シズクの確信していた通り異能を使って攻撃の当たらない範囲に移動していた


「さして固くは無いが何せ図体がでかい致命打を与えるのはきついな。それにジャンプするのが厄介だな。あの攻撃も範囲が広い、場所ミスったら食らうな」


魔物が攻撃に夢中になっている間に色々と考える

あの巨体から放たれる一撃は直撃すれば防具をつけていない澪は致命傷になりかねない

防御したとしても腕は無事では済まないだろう

配信画面が澪が居る所を写しているカメラの画面に変わる


『いつの間に!?』

『マジで無傷じゃん。えっなに異能?』

『異能だとしたらもしかして空間移動系?』

『本当にそうなら世界で3人目の空間移動系の異能者って事じゃん!』

『ヤバっ』


「何処から崩そうか。やはり攻撃してくる腕だな。取り敢えず」


足に勢いよく槍をぶっ刺す

手を攻撃するにも攻撃を一度止めないとならない、魔物は刺された方の足を見て澪を見つける

一度叩いていた地面を見るが血の一滴も付いていない

そこで漸く攻撃を避けられていた事に気付く

四足で急カーブするように動いて素早く大きく振り被った手を地面を削りながら大きく振るう

手が当たる直前までその場を動いていない澪を見て魔物は今度こそ確実に捉えたと確信する


『今のは食らったろ』

『これで避けてたら空間移動系で間違い無いだろ。人間のできる行動じゃねぇもん』

『レイさーん!』

『頑張れー』

『シズクちゃーん』


「私も零さんの異能については詳しくないです。空間移動系の異能だと言うのは本人に確認は取れてるのですが本人曰く思っている異能とは違うとの事」


会話をしながらも様子を移動しながらしっかり確認する


『空間移動系マ!?』


配信画面に無傷の澪が映る


『空間移動なら避けられるか』


手や足を攻撃してダメージを蓄積させる、どんどん傷が増えていく

地面からでは胴体や顔には届かない

(時間かかるな)

結構深く刺しても動きが一向に鈍らない

そして手足が太いので槍の攻撃では深い傷にならない


『思ったのと違うってどういうことだろ。現状判明してる2つの異能とは系統が違うって事?』

『今判明してるのは物体移動とワープ能力、なら瞬間移動?』


「たぶん瞬間移動なんだけど何かしら条件があると思います」


『条件なんだろ、アニメとかでよくある座標指定とか?』

『もしくは視線の先にとか』

『初のエリアで戦闘中に移動してるから予めその座標に行っていないと発動出来ないとかそういう条件では無さそう』

『発動には数秒かかるとか? 異能使った時って動いてないし』

『あぁそれ有りそう。だとしたらかなり使い勝手悪いな』

『戦闘中の数秒はきついね』

『戦闘中のみ発動が出来るとか?』

『どうやって戦闘中とか判断すんだよ』

『それもそうか……』

『距離の制限はありそう。無制限の瞬間移動は強すぎる』


リスナーが澪の異能の条件について議論していると突然魔物が叫び暴れ回る


『うわぁ何!?』

『うるさっ』

『魔物が暴れ回ってる』


背中側に移動していた澪が背中に何度か攻撃を加えていた


「うおっ」


体勢を崩して落下する

異能で安全に着地して距離を取る

澪を狙う訳でもなく暴れ回っている


「うっわ、面倒、どうするか接近難しいなぁ」


暴れ回っている状態では近付けない

数分暴れ回り突然ピタリと止まる

シズクがバフを掛け直し念の為に自分の前にシールドを展開する

このシールドは動かせる

ピタリと止まった魔物はゆっくりと部屋全体を見渡してシズクを見つけるがスルーして澪を探す


「何か探してるのか」


キョロキョロと周りを見て澪を見つける


「ブェァァァァ!」


突如魔物は奇声を発する

思わず耳を塞いでしまう

コメントが一時的に止まる

(中ボスってのはゲームみたいに第二形態があるのか)

背中から左右2本ずつ、計4本の腕が生える

第2ラウンドが始まる

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