色鬼

K

第1話 色鬼

僕の小学校に外国人がやってきた。

名前はマイケルと言った。

マイケルはとても日本語が上手だった。


昼休憩、僕らはマイケルと一緒に校庭で遊ぶことになった。


「色鬼やろうよ」

僕はみんなに言った。


「マイケルは色鬼っていうあそび分かる?」

僕がそう聞くと、マイケルは首を横に振って不思議そうな顔をしたので、ルールを説明して上げることにした。


「鬼になった人が好きな色を言うんだ。そしたら、僕たちはその色のものを探して触るんだ。鬼に捕まる前にその色に触れたらセーフだよ」


僕は、実際に近くにあった赤い滑り台に触って見せるとマイケルは笑顔になった。


「その遊び知ってる。アメリカでもやったことある」

「ほんと!アメリカにもあるんだ。じゃあ、さっそくやろう。最初は僕が鬼をやるよ」


はじめは簡単な色にしよう。

「青色!」

僕が叫ぶとみんなはちりぢりになって遊具の方に走っていった。青色のジャングルシムが近くにあったので、僕に捕まる前にみんながジャングルジムにしがみついた。


「よーし、じゃあ、次は茶色!」


僕がそう言うとみんなは一斉に校門の近くに生えた濃い茶色の木に走った。せっかくなのでマイケルを捕まえたかったけれどマイケルは足がとても速くて捕まえられなかった。

「マイケルは速いなあ!」

「へへっ」


「ようしじゃあ、次は肌色!」

僕がそう言うと、みんなは校庭の端にある体育館の壁へと走っていった。

しかしマイケルだけは木にしがみついてそこから一歩も動いていない。


「なんで、逃げないの?マイケル」

僕がそう聞くと、マイケルは悲しそうな顔で言った。


「この色じゃダメなの?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

色鬼 K @K430lr44

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る