第10話「愛亡き今」

切なる鋭敏さ

理の懺悔

死の目録

その全て、又は零の極意

混沌とした

混然の困惑


そのどれさえも

やがては時にふける

根絶やしの業火


誰それも

叶わずの命

努力と単身の熱で

押しやる他

この上なく


ただの死だと

笑われるが

愛のごとし


その不実にさえ

愛は愛を超えはしない

誰かの声で誰かの夢を記せば

それは憧れか、又は共謀か


命の歪にゆれい

ただの愛にどれほど似つかわしい

灯をくべるか

それもさほど

愛なき

霊卒


ああ、命ありて生きてるのであれば

心など要らぬとは

それもまた悟りの一級品


死を直視した

マナベルとクレーメンのように

愛を交わさず死に至るなら

それもまた愛なき美しさ


ああ、どれ、さて、と

くべる愛を水で消して


愛亡き世界を今宵も行く。

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