　ナサニエル様を讃える市民のお祭りは、村の中心に位置する広場で華やかに開催された。この広場は通常、日常的な市場として機能しており、人々が物品を交換・販売する場所なのだけれど、この日は一変し祝祭の場として生まれ変わっていた。

　広場には色とりどりの旗や幟が飾り付けられ、花輪や布がそれぞれの角や屋台に飾られている。この装飾は広場全体に華やかさと祝祀の雰囲気をもたらし、訪れた人々の心を躍らせた。

　お祭りでは、伝統的な楽器を奏でる音楽家たちが生み出すメロディが空気を満たし、踊り手たちが舞踊を披露していた。その動きは優雅で力強く、観客たちを魅了した。

　屋台や仮設のテントでは、様々な料理や飲み物が提供されており、空腹を刺激する香ばしい匂いが広場に漂っていた。人々は美味しい食事を楽しみながら、お祭りの喜びを共有する。

　子供たちは興奮して駆け回り、大人たちは友人や家族と談笑しながら、お祭りの楽しさを満喫していた。彼らの顔には幸せな笑顔があふれ、その表情からは共に過ごす時間の尊さが伝わってきた。

　お祭りの華やかな雰囲気の中、私、デリアは緊張と期待で心が満たされていたわ。ナサニエル様との婚約発表の瞬間が近づいてきていたのよ。色とりどりの旗が風に揺れる広場の中央で、私たちの大切な瞬間が訪れようとしていた。

　ナサニエル様は私の手をそっと握りながら、静かに前へと進み出た。彼は深呼吸をして、集まった民衆に向かって話し始めた。

「今日は私を讃えるお祭りを催してくれてありがとう！　実は大切な発表があります」

　彼の声は堂々としており、同時に暖かみがあった。民衆への敬意と親しみがその声には込められている。

「本日、私、ナサニエルは愛するデリア嬢と婚約しました。デリア嬢の愛は私の戦いの最大の力であり、彼女の側にいることが私の幸せです。この幸せを胸にイシャーウッド王国の民たちのために、魔法騎士副団長としてさらに強い決意を持って、イシャーウッド王国を護っていくことを誓います！」

　私の目には感動の涙が浮かんでいた。広場は歓声と拍手で満たされる。民衆はナサニエル様と私の婚約を心から祝福してくれた。ナサニエル様が民衆と共に歩む英雄へと進化を遂げた瞬間だった。

　民衆は彼の勇気と力に心からの尊敬と感謝を寄せており、ナサニエル様はこの強固な絆をさらに深める機会として、私との婚約を民衆の前で発表することを決めた。この行動は侯爵の地位を得た彼が、民衆の心にも届く英雄であることを示す象徴的な行為となった。

　やはり、私の愛するナサニエル様は完璧なのよ！　こんなに愛せる男性を見つけて、私は心の底から幸せを感じたのだった。　

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