第9話 とある映像記録の書き起こし
00:00~
「はぁ・・・はぁ・・・」
男性の荒い息づかいが聞こえる。スマートフォンのカメラで撮影されていると思われる映像には、同じくスマートフォンのライトで照らされた鬱蒼とした森林とある程度整備された登山道が映っている。男性はどうやら映像の登山道を登っているようである。映像内では雪がちらついている。
09:05~
「!」
突如画面がぶれ、男性は立ち止まってカメラで辺りを見回す。映像からは微かに車のエンジン音と動物のうなり声に似た音が聞こえる。
「・・・行かないと」
男性は再び歩き始める。映像は変わらず鬱蒼とした森林を映している。
14:45~
再びうなり声のような音が聞こえる。男性は立ち止まることなく辺りを見渡すが、何も見えない。雪が少し強くなる。
55:08~
少し開けた場所に出る。映像にはかなり古い鳥居が映っている。鳥居には人の髪?で編まれた注連縄が掛かり、干からびた鳥?の死体が釘で打ち付けてある。
1:08:46~
頂上付近に着く。映像にはかなり古いお社のような建造物が映っている。男性はそれに近づいていく。
1:11:37~
カメラはお社の真正面を映す。かなり年季の入ったお社でいたるところが朽ちている。また、いたるところに御札らしき紙が貼られている。男性は息を整えてから、お社の扉を開ける。
1:12:09~
「これは・・・・」
男性は言葉を失っているようである。お社内には木製の白い仏像らしきモノがあった。大きさは二メートルほどあり、顔部分は長い年月を経て半ば朽ちている。体には何かしらの動物の毛皮と羽根が織り込まれた布、上から御札が何枚も貼られている。体に対してかなり長い猿のような手は形ばかりの合掌をしており、そこに無数の数珠が巻き付けられている。仏像の前には簡易な机が置かれ、そこには線香を立てる香炉と木魚、そして黒く変色した
1:12:20~
「・・・・違う、これは・・」
男性が言葉を発した辺りで背後からドンッと音がする。男性はすかさず振り向き、映像も大きくブレる。
「えっ」
1:20:04~
「おなかすいた」
男性とも女性ともとれる中性的な声が聞こえる。この時、映像は真っ白になり三つの黒い点が確認できる。
映像終了
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