飛び立つ鳥にさよならを言えない
その鳥は気高く
美しく
ときにとぼけて
ずるがしこく
おちゃめで
抜け目なく
天然で
嘘つきで
目は悲しかった
わたしは鳥が飛び立つ日にぬかるんだ道を歩き鳥を見に行った
鳥はたくさんの同族に囲まれていた
赤い鳥青い鳥 太っちょな鳥背の高い鳥
わたしの知らない鳥もいた
わたしは遠巻きに彼らを眺めていた
飛び立つ直前になって鳥は泣いた
くちばしを鳴らして泣いていた
そして鳥は飛び立っていった
わたしはサヨナラを言えなかった
ただサヨナラだけを言いに来たのに
サヨナラを言えなかった
飛び立つ直前、鳥はわたしを見ていたのに
あの瞳がわたしを貫き続けているのに
わたしはサヨナラを言えなかった
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