さみしい黒
ベランダの隅の闇はぶるぶると震えて縮こまっていた
どうしてそんなに怯えるんだ
空を見上げてみろ
星をかき抱く荘厳な黒が見えるだろ
君もその仲間なんだ
ベランダの隅の闇はぼくの話をじーっと聞いていた
やがてふるりと羽をひらき
空へ飛び上がっていった
夜空の闇に溶けていった
よかった
これでもうさみしくないな
って思ったけどさ
もし君が宇宙でも隅でぷるぷる震えて縮こまってるならさ
そのときはぼくもそっちに行くよ
さみしい黒がふたり
ふたりはさみしいままだけど
それでもいいかい
うなずいてくれるといいな
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